サプリメント

膨大な種類のサプリメントを手のひらに広げる。ビタミン、ミネラル、カルシウム、鉄分に、あとはなんだか知らない栄養素。これを1日に3回服用しなくてはならない。めんどくさい。だけど大切なこと。手のひらのパッと見は、薬中そのもの。

まあ、人には大なり小なり触れられたくない物を抱えているわけだから、深くは聞かないでほしい。

コップに水を入れてる時間はもったいない。そんな時間があればもう少し賢くなれる。頭なんか、本当は空っぽで、脳みそなんか見かけ倒しでしかないんじゃないかと、思う時がたまにある。だから、時間を有効的に使うために、そんな事を考える。記憶だって全て曖昧で、やっぱり頭は、首の上にあるだけなんでしょ。勉強出来る奴は手が勝手に動いているんでしょ。なんて、思う。

3回に分けて錠剤を胃に入れる。本当にこんなものが身体の役に立っているかは分からない。騙されたと思って飲んでみろ、と言った先輩は三ヶ月前にどこかの病院に連れていかれて、つい最近死んだそうだ。

まあ人はいずれ死ぬ生き物だし。それが早かれ遅かれ、死ぬし。この世はそれだけが平等だから文句は言わない。もう何も言わない。気分が軽くなってきた。もっと飲めば、昔思い描いていた空を飛ぶことなんて朝飯前かもしれない。

勉強すればするほど、この世の汚物に目が触れる。空を飛べない構造だとか遺伝だとか能力とか、知ったこっちゃなかったのに。受験は人生の勝敗と存在の優劣をつけてしまう。だれもそれが嘘だとか本当だと言わない。なんにも知らない。

あと五時間後にサプリメントを飲めば、それでいい。なにも怖くない。








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