オイルを塗り込められてぬめり輝く広い背中を、ぐいぐいと親指の腹で押す。 筋肉の張りと弾力が直に感じられるというのは、何だかドキドキする感触だった。 しかも、今触れているのは大好きな男性(ひと)の身体なのだ。 「痛くありませんか?」 「いいえ、大丈夫ですよ」 うつ伏せに寝ている赤屍が答える。 甘いテノールに笑みが混じっていた。 背骨に沿って上へと指を滑らせ、首の付け根から肩にかけてをなぞって。 もう一度手の平にオイルをつけて、肩甲骨の周りをゆっくりと揉みほぐしていく。 微かな震えが伝わったのだろうか。 男性らしく太い首の筋肉がうねり、赤屍が僅かに首をこちらに傾けた。 「とても気持ちが良いのですが……せっかくの"誕生日プレゼント"ですから、出来れば、じっくり貴女の姿を見せて下さい」 「……はい…」 予期していた通りの要望に頬が紅潮していく。 赤屍はしなやかに動いて身体を捻り、態勢を変えた。 仰向けになったその裸身は、こうして間近で見ると震えがくるほど美しい。 その身に幾つも刻まれた無惨な傷痕も、醜く見えるどころか、彫刻のように均整のとれた肉体を引き立てる要素になっていた。 鎖骨に、胸板。 くびれた細腰。 綺麗な腹筋。 成熟した男の色香を放つ裸体のあまりのなまめかしさに、無意識の内にごくんと喉を鳴らしてしまったほど。 「クス…本当に、可愛らしいプレゼントですねえ」 赤屍が笑う。 全裸に赤いリボンのみを纏った"プレゼント"は、男の欲情した視線に晒されてぶるりと身体を震わせた。 膝をついて赤屍の身体を跨がったその脚の付け根から、既に一度受け入れさせられていた体液が溢れ出て、腿を伝い落ちていく。 「さて──今度はどうやって美味しく頂きましょうか」 選択肢は二つ。 好きなようにされるか、 好きなようにさせるか。 自分の上で子兎のようにぷるぷる震えている聖羅をじっくり鑑賞しつつ、赤屍はたっぷり時間をかけて悩んだ。 |