※某音ゲのT/ЁЯ/R.Aの零という曲のイメージのSSです。
「帝人くん、帝人くんみかどくん!!非日常を求めておちて堕ちて行く君はなんて美しいんだろうね!!」
そう言った臨也は見る者の背筋を凍らせる程の美しい笑顔で帝人を見つめた。
「本当、ずっとずっと飾っておきたいよ、帝人くん。」
(あぁ、どうして貴方はそんなに臆病なんでしょうね・・・)
そうして、帝人は臨也が差し伸べる手を迷わず取った。
そうして、帝人が臨也のマンションに軟禁されて暫く経った頃。
ソファに座り後ろから帝人を掻き抱く臨也は帝人の肩に顔を埋めて囁き続ける。
「帝人くん・・・ずっとここに居て、ね?誰にも渡さないよ、紀田君にも、ガキにも、静ちゃんにもさ・・・?」
「僕はここに居ますよ、臨也さん・・・」
「誰にも、渡さないよ。誰にも・・・」
自身を掻き抱く男の手に自らの手を乗せる。それでも臨也には何の反応もなくただただそこに居もしない人間に帝人を取られまいと必死に掻き抱いて呪詛の様に語りかけ続けるだけだ。
(どうして・・・僕の声は届かないの・・・?)
「どうしてっ!どうして僕を見てくれないんですかっ!!」
つぅ、と帝人の瞳からひとすじの涙が流れた。
「臨也さん、恐がらないで下さい。僕は貴方から逃げたりしません。僕は、ココにいるんですよ、臨也さん・・・っ!」
臨也の上から離れ、感情の赴くままに臨也の胸ぐらを掴みガクガクと揺らす。
感情のまま泣き叫ぶ帝人に呆然と臨也は帝人を見つめ返す。
「みかどく…「僕は」
臨也の言葉を遮り、胸ぐらを掴んでいた手を放し、先の臨也の様に首筋に顔を埋める。
「僕は、臨也さんの為なら、臨也さんが笑っていてくれるなら…僕の全てを貴方に捧げても良いと思ってるんですよ?」
それは帝人の偽り無い本心。そしてちゃんと臨也に自分を見ていて欲しいと思うのも偽り無い本心。
「帝人君…」
「臨也さんだけです。…だから、僕を、見て下さい。…笑ってて、下さいね…?」
そう言って、2人は顔を見合わせて、笑った。