10000hit記念に頂きました!
本当に有難うございます!!
目が覚めて、まず僕の視界に飛び込んできたのは―――知らない天井だった。
「え……?」
自分の部屋ではない。
友人の部屋でもない。
何故自分は、知らない部屋でベッドに横たわっているのだろうか。
考えても答えは出ない。
とりあえず起きようと思って、体を起こそうとしたが、
「……え?」
僕の両腕は頭の上で固定されていて、かしゃん、という金属音だけが空しく部屋に響いた。
【歓喜に咽ぶ愚か者】
「お目覚めかい? 帝人くん」
「……臨也、さん?」
かしゃん、かしゃん。
両方の手首はそれぞれ手錠のような物でベッドに繋がれていて、どうにも抜けそうにない。
どうにか外そうとする僕を見て、臨也さんは不思議そうに首を傾げる。
「そんなことしたって無駄だよ、帝人くん。それは鍵がないと開かないんだ。……もっとも、
鍵なんてここには無いけどね」
快活な笑みを浮かべて、臨也さんは言った。
そして、ベッドに腰をおろして僕の頭に手を伸ばす。何が面白いのか、時折くすくす笑いながら
僕の髪を梳く。
「……何が目的なんですか、臨也さん」
「目的?」
ぴく、と臨也さんの手が止まった。
不信に思い、臨也さんの顔を見上げる。
見上げた先には―――
「帝人くん………君、まだそんなこと言ってるの?」
口を歪めて嗤う、臨也さんがいた。
「い、臨也さん?」
臨也さんは、僕に覆いかぶさるようにベッドの上で四つん這いになる。
ぎし、とスプリングが軋む。
「まったく……そろそろいい加減にしなよ」
僕の顔の、すぐ横に手を置いて、顔を近づける。
「知ってるんでしょ? 俺の気持ち。それを知ってて、君は――あいつらと一緒にいるんでしょ?」
「あいつ、ら?」
「とぼけないでよ」
瞬間、
臨也さんとの距離がなくなった。
「……んん!? ……ふっ……ん……!」
噛みつくような、貪るような口づけ。
苦しくても、両腕が拘束されて抵抗もままならない。
「今日も紀田くんたちと仲良く下校して? セルティと立ち話して?
ドタチンたちとご飯食べて? そしてシズちゃんとあんな楽しそうにしちゃってさぁ!!」
「……はぁ、はぁ……! 臨也さ、ん……んぅ……!?」
臨也さんが喋ってる間に呼吸を整えようとしても、すぐに蹂躙は再開される。
嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
腕を動かそうとしても、かしゃん、と無情に鳴る金属音。
「俺だって、……俺だって、待とうとしたよ。きっと君が、俺の気持ちを分かってくれるだろう、て」
ゆっくり、臨也さんが唇を離す。
酸欠気味で、目眩がする。
くらくら、くらくら。
ぼーっとする頭で力なく天井を見上げていたが、自分のシャツを切り裂く音で一気に現実に引き戻される。
「え……や、やめ……! やだ……やだぁ…………!!」
胸の突起をいじり、ざらりとした舌で舐められた。
もう片方の手は、浅ましく起ち上がった僕のそれを執拗に弄る。
「でも、もう嫌だ……我慢できないんだよ! 俺を、俺だけを見てよ帝人くん……!!」
「うぁ……あ、あぁ……やめ……や、です……ひぅ!」
思わず、涙が出てしまう。
ぼやけた視界―――天井の模様も、臨也さんの輪郭ですら曖昧になった世界で、僕は思った。
(狂ってる……)
「嫌なの? 嘘を言っちゃだめだよ、帝人くん。君のココは、正直みたいだけど?」
(こんな、手錠で僕を縛りつけて犯す臨也さんも……)
「あぁ……や、やなんです……いざや、さん……! はぅ……う、んぅ……!!」
(こんな、手錠で縛られて犯されてるのに……)
「帝人くん、帝人くん……気持ちいい? こんなに先走っちゃって……」
「み、ないで……くだ、さ……あぁ……!」
(悦んでいる僕も……)
やがて臨也さんはベルトを外してズボンを脱ぐと、僕の後孔に自身を押し付ける。
「いっ……!? やだ、やだやだ……おねが、い……やめて……やっ……!!」
「やめないよ……、はっ、やめるもんか。君を隅々まで……奪いつくすまで……!」
嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
外して。
ねぇ、臨也さん。
外して。
お願いです、臨也さん。
この枷を、外して。
じゃないと―――――、
「帝人くん、帝人くん、帝人くん……!!」
口の端を歪めて嗤いながら、
「う、……あ、やぁ……ああぁあぁぁぁっ!!」
捨てられた子犬のような、今にも泣きそうな、途方に暮れた瞳をしている貴方を、
抱きしめる事が出来ないじゃないですか。
fin.