ノクターンに沈む

コンコンとノックをすれば、中から入れと言う声に失礼しますと応えて室内に入る。

「ボス、任務完了しました」

「あぁ」

書類から顔を上げずに返事だけ。
どうやら、かなりお疲れの様子。

「コーヒー、煎れましょうか?」

「いや、いい。そんなことより、怪我はないな?」

優しい、あたし達のボス。
だから、あたしの手が血にまみれるのも嫌う。

「問題ありません」

「そうか。なら、もう下がれ」

早く休めと遠まわしに告げる。
ほんと、うちのボスはどうしょうもない。


「……ゼロス、休みなって。あんたの体が保たないよ」

「心配すんなアホしいな。オレはこのぐらいじゃへばったりしねーの」

ボスではなく名前で呼べば、あたしのお仕事モード終了。

部屋に取り付けられている簡易キッチンで、ミルクを温めて休憩の時間を無理矢理作る。
こうでもしないと休まないのは、タチが悪い。

「ほら。ココア出来たから、こっちに座んな」

コーヒーではなく、ココアなのは眠れるように。

ようやく書類を手放すと、愛用のソファーから立ち上がった。

「……悪いな」

「そう思うなら、飲んでさっさと寝な」
一体いつから寝てないのか、それでいてクマもない整った顔。
尊敬を通り越して呆れる。
もっと、もっと、もっと、あたし達を使えば良いのに。
それこそ、壊れてしまうぐらいに。


この人に付いて行くと決めた時から、あたしの身も心も貴方だけのもの。

だから、どうか貴方が少しでも傷つかないように。

一生、服従誓います。



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