はじまり
とある学校の教室に、数名の生徒がいた。
時刻は5:15。
どうやらたった今、会議が終わったようで、ガタガタと机を移動させる音だけが教室に響いている。
誰一人として、言葉を発しようとする者はいない。
やっと会議が終わったというのに皆浮かない顔をして、教室には重苦しい空気がただよっていた。
理由はおそらく…………
今日……、この会議で決定されたこと……
「委員長……、本当に行かれるのですか?」
1人の男子生徒が黒板を消している黒髪のポニーテールの少女に話しかける。
「えぇ……、このままだったら桜中がダメになってしまうもの」
少女は手を止めることなくそう答える。
「しかし……っ、委員長1人では危険です!」
教室中の視線が、前で話をしていた2人に集まる。
「ふふ…っ、大丈夫よ」
そう言うと少女は最後の文字を消し、ゆっくりと振りかえる。
そして、見る者すべてを虜にするような美しい笑みを浮かべた。
「私が留守の7日間、桜中を頼むわね」
パンパンと手についたチョークの粉をはらうと、彼女はスカートをひるがえしながら教室を後にした。1/4
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