「がっくーん!」
「お、結衣」
今日の私はハイテンション
テニスコートの中にいる彼にいち早くたどり着こうと、フェンスを飛び越えコート内に着地する。
あたりから私があまりにも高く華麗に舞ったものだから、感嘆の声が上がる。
いつもならファンサービスでそれに応えてあげるけど(これでも新体操部部長だし?)今はそんなことをしている暇はない。
愛しの彼に飛び込むことが最優先!
走ってぴょーんと飛び付くと、彼は小柄ながらもしっかりと私を受け止めてくれた。
「がっくんっ、はっぴーばーすでー!!」
私は地に足を付けながらそう言った。
そして急いで制服のポッケからある物を取り出して、プレゼントだよ!と言ってがっくんに渡す。
「ん、羽のストラップ……」
「そう!がっくんそう言うの好きでしょ?私とおそろいだよっ」
私はケータイを彼に見せる。
そこには渡したストラップとビーズが色違いの物が付いていた。
「ありがとな!」
「この羽があれば二人で飛べるかもね!」
「かもな!」
私たちは両手をつなぐとその場でぴょんと飛び跳ねる。
「おっ!いつもより高く飛べたかもしれねぇ!」
「本当?」
「おう!結衣のおかげだなっ」
止まることなく飛び続ける。
二人だと楽しくて、いつもの二倍も三倍も飛べる気がして笑いながら飛び続けた。
「私たちならどこまでも飛んでけるね」
「よし!宇宙まで飛んでこうぜ!」
そんなことを言ってたら
「さすがに飛び過ぎやろ……」
そんな呆れた声が聞こえた。
空の果てまで飛んで行け
神様!誕生日には在り来たりなプレゼントなんかじゃなく、何処までも飛んで行ける翼をください!