「結衣っ!!」
薄れ行く意識の中、隼人が私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
あーぁ、私撃たれたんだ。気づいたらって感じで、あんまり実感がない。痛くもないし、なんかふわりとする変な感じで、立っていられなくて床に倒れたら、私の体から生暖かいものが流れて、床に赤い水溜まりを作っていく。だんだん朦朧としてくる意識の中、自分がもうすぐ死ぬんだろうなってことは、はっきりと分かった。
「結衣……」
自分を呼ぶ声が間近で聞こえる
「は、やと………?」
呼吸もままならない声でそう呟く、すると抱き起こされて、ぼんやりとした視界の中、隼人の悲しげな顔が写る
「ごめ…、撃たれ……た…」
自分では笑ってるつもりだけど、うまく笑えてるのかな?
「もう喋んなっ…、今止血する」
あぁ…、そんなことしてももうダメなのにな…。そのくらい、医者じゃなくたって見ればわかるのにね。
「はや、と…今まで…、ありが、とね」
私なんかを好きになってくれてありがとう、最後にそばにいてくれるのが隼人でよかった。彼はまだ諦めないで私を救おうとしてくれてる、けど
「も、う…いいから…早く、逃げ…て」
このままじゃ、隼人まで巻き添えを食らっちゃうのに
「んな事出来るわけねぇだろ!死ぬなよ…、結衣…」
あぁ…、そんな悲しい顔しないで…
「さいご、くらい……私の言う、こと……」
素直に聞きなさいって
こんなことになるなら、私を好きになんてならなければよかったのにね。最後に見るのが君の泣きそうな顔なんて、嫌だなぁ
END