「結衣ってこういうゲームやるのな」


彼の手には私の愛用のゲーム、それは俗に言う恋愛シュミレーションゲームと言うもの
これだけは見られたくなかった。
どうしてこんなことになってしまったのだろう?ことの始まりは今日の放課後でのことだった。


「なぁ、結衣って独り暮らしだよな?」


帰り道幼なじみの山本武に唐突にそんなことを聞かれた。


「今さらなんでそんなこと確認?」
「ん、特に意味なんてねーぜ」


そういいながら私の一歩手前を歩いていく。そうだよね、帰り道の会話に意味なんて特にないもん。でもなんのまえぶれもなく家の話?……ま、いっか。もうそろそろ私の借りているマンションに着くなぁとか考えていたら


「え………?」


突然顔に冷たい滴が落ちてきた。


「お…………」


二人して空を見上げれば天上には鉛色の雲、さっきの滴をかわきりにざぁっと雨が降ってきた


「うわっ、降ってきたよ……」
「結衣傘持ってるか?」
「ううん、持ってない……」


この様子だとやむ気配もない……けっこう大降りだなぁ、私に聞いたってことは武も傘持ってないんだよね?武の家まではまだ少し距離がある。うーむ……仕方ない


「うち寄ってく?」
「結衣の?」
「それ以外に誰のうちがあるのよ」
「だって普段入れてくんねーじゃん」


それは親に独り暮らしなんだからあんまり人を家に連れ込むなって言われてるからだし、若干片付けが苦手ってのもあるし……けど……


「野球の大会近いんでしょ?風邪引いたら困るじゃん」


そう、武は今週の土日に大会があるんだ。こんなことで体調崩して試合に出れなかったとなったら私の気がすまない。だから私は軽く強制的に武を家につれてった。まではよかったのだ。ところが普段片付けがなかなかできない私は、昨日の夜やったゲームを出しっぱなしにしていた。それを洗面所にタオルを取りに行っている間に武に見られてしまったのだ。こんなに片付けをしなかった自分を恨んだことはない。何やってんだ昨日の私


「結衣……?」
「は、はい」
「なんで固まってんだ?」


そりゃ固まるでしょうよ、いくらお幼馴染みでも秘密を知られてしまったら……


「武くん………」
「ん?」
「どうかこの件はご内密に……」
「この件?」
「私が乙女ゲームをしてるってことだよ!!」


それ以外に隠すことなんてないから!………、いやたくさんあるか


「あ、やっぱそういう系のゲームだったんだな」
「お願いだから誰にも言わないでぇ〜」
「わーかったって!だからとりあえず落ち着けって」


そう言われて、とりあえず深呼吸。おぉ、落ち着けてきた。


「こういうゲームって楽しいのか?」


説明書を開きながらそうたずねる武


「楽しいよ!ツンデレとか後輩とか幼馴染みとか…色んな属性のキャラを落とすのは快感だよ………っ!!」
「へぇ………」


は………っ、思わず熱弁してしまった。ヤバい引かれた……?はらはらしながら武を見たら特にそんな様子はなく、説明書に興味が行っているようだ。よかった……


「結衣は何人くらい攻略し終わったんだ?」
「昨日最後の一人終わったんだよ!!」
あの子は大変だった……普通にせめても駄目で、でもかまってあげないと拗ねちゃって、微妙な距離をおきつつも……。なんてことを考えていたら
「なら次は俺だな!」

「は……?」


なんて言った?


「今までの練習だろ?だったら本番の相手は俺選べって」
「え、え…?」
「そう簡単に俺は落ちねーぜっ」


なんて笑顔で言ってる武。え?これはもしかしなくても告白みたいな?



乙女ゲーム−練習=本番?



落とすならゲームより本物の彼にして



いざ攻略!!
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