平凡で、非凡に憧れてて、普通の日常生活をおくっている私。まぁ、普通と言うにはちょっとあれな特技を持っていたりするけど、まあ一般的な女子高校生だと自分では思う。
ただ好きな人が三次元にいないってだけで。
だから、


「おい、テメェ何者だぁ?」


まさか、こんな風にいきなり非日常に放り込まれるなんて思ってもいなかった。
え、マジか。これって私死亡フラグ?だっていま私の目の前にいる方が手に持ってるのは明らかに銃刀法違反てきな物で、え、何これ?

ことの始まりは今日の朝、久しぶりの休日を存分に満喫しようとしたことに始まる。




 * * *




秋も深まり、冬の気配を肌で感じられる今日この頃。だけど寒さもなんのその、リボーンの新刊片手にわっくわくの私さっ!レジにて会計を済ませ、鞄の中にそれをしまう。漫画はゆっくり部屋で読む主義だから我慢我慢。
店をちゃちゃっと出て、バス停に向かおう。
家に着くまで少しの辛抱だ。


「ふん、ふふんふーん」


鼻唄混じりに天気の良いなとか思いながらバス停に続く一本道を歩いていた。
今日はリボーン読んで、嫌だけど宿題終わらせて、明日の準備して、なんて午後の予定をたてる。きっとまぁ、宿題なんてやらないんだろうけどもね、つまりは明日の朝は学校で大忙しだ。


からん、からん。


「ん?」


何か固いものが落ちたような音がして首をかしげる。鞄に付けていたマスコットとかが落ちたわけではなく、取り敢えず辺りを見渡してみたら、きらりと日の光を反射するものを発見した。
しゃがんで見ればそれは指輪で、アメジストと何だろう?少し青っぽい色をしたストーンが使われているデザインリング、何となく拾って、これまた何となく自分の指にはめてみる。左手の人差し指にぴったりだ。


「これ、どうしよう……?」


近くに人はいないし……。でも、きっとこんなに綺麗な指輪なんだから落とした人はさぞかし後悔しているだろう。
うん、警察に届けるかな…。と、思って名残惜しいけど指輪をはずして、上着のポッケに入れた。たしか、目指しているバス停の近くに交番があったはずだから、そこでいいか。
いざ、交番へ!と足を踏み出したとたん、


「え…、うわぁっ!?」


沈んだ。
例えるならそう、階段を踏み外したような感じ。


「え、えぇぇえぇっ!!!?」


そのままどんどんスピードを上げて沈んでいく私のからだ。引っ張られているような、落ちているような不思議な感覚がして、あたりが真っ暗になった。それでも落下するスピードは変わらなくて、何かにすがろうにも何も見えない。
いったいこれどうなってるの!?
いい加減今の現状がわからなすぎて、苛立ちが生まれ始めたとき、急に落下速度が緩やかになった。


「う……」


車に酔ったみたいな気持ち悪さが込み上げてきて、もうどこでもいいから早く地に足を付けたいと心のそこから願ったとき、がっしゃーん、という大袈裟な音を立てて私は何かに突っ込んだ。


「痛たたたっ………」


痛い、普通に痛いです。しばらくうずくまって、けど、何が起こったのか確認すべく突っ込んだ場所から這い出た。辺りは暗くて月明かりでぼんやりと見える程度。どうやら私は積み上げられていた木箱に着地したようで、それはもうものの見事に粉砕されていた。
てか、ここどこだ?


「どこでもいいからとは言ったけどさ……」


ホントにわけわかんない。
現在位置もわからなければ、よくよく考えてみるといきなり道が沈むなんておかしすぎる。いまだに混乱する頭だけどここでただじっと立っていてもなんの解決にもならないので、取り敢えず歩き出した。どこかに人ぐらいいるでしょ。

そんな、浅はかな考えで道をぐいぐい進んでく。


「あ、そうだ携帯!!」


そういえば私は文明の利器を持ってました。これで現在位置を確認すれば………ってまさかの圏外!?
がっくしと肩を落としてパタンと携帯を閉じた。


「どーしよっかなぁ……」


暗いし寒くなってきたし人の気配がないしで、ちょっと心細くなってきた。誰かいませんかーって叫んでみようと、口元に手を運んだとき、


「う、ぐぁあぁっ……!!」


うめき声が聞こえて思わずびくりと肩が跳ねる。
え、なに?今の……。明らかに穏やかじゃないよね?
ぞくりとして、けどなぜか心が弾む。危険かもしれないし、嫌な感じしかしないけど、好奇心に負けて声のした方へと足が勝手に歩き出す。

ここでなにが起こってるの?

私はそれが知りたくて、細い路地へと踏み込んだ。するとそこには背の高い人が月明かりに照らされて立っていて、綺麗な銀髪が特徴的なその人の足元にはひ…と、が…


「え………?」


思わず洩れてしまった言葉。それに気がついたらしく銀髪さんは振り返り様私に何かを向けてきた。いきなりでびっくりして、足に力が入らなくてその場ですとんと座り込んだ。

え、え?どうして?
人、死ん……でるよ?しかもあの人の持っている剣何か赤くなって…。

え…、




そして冒頭に戻る。





本当に訳がわからなくて、これが現実なのかどうかも判断できないぐらい私は混乱していた。だって、普通にあり得ないでしょ、けど、目の前にいる人の顔は薄暗くてよく見えないし、現に今座っている地面から伝わってくる冷たさは本物だ。
怖いのか、驚いてなのか喉が引きつってなんにも話せないし、何者だって聞かれたってただの女子高生ですとしか答えられないし。というかまず、なんでこんなとこにいるのかもわからないし。

ただ頭の中ではずっと危険信号が鳴りっぱなしで、逃げなきゃ逃げなきゃってそればっかりがぐるぐると回ってる。けど、足に力は入らないし、目を剣から反らすこともできないし、今の私絶体絶命だ。


「う゛お゛ぉい!!なんか言ったらどうだぁ?」

「……っ、」

「まぁ、見ちまったなら帰すわけにいかねぇからなぁ…、悪く思うなよ」


振り上げられた刀、どこか聞き覚えのある話し方に誰だっけ?と考える暇もなくそれは私に向かって下ろされた。
もちろん避けるなんて芸当私にできるはずもなくて、防ぐものだってなくてただ固まっていた。まるでスローモーションみたいに世界がゆっくりになって、あぁ、死ぬなって、こんなどこともわからない所で私の一生終わるんだって、けど、次の瞬間そんな考えは私の頭の中から吹き飛んだ。


「なんだぁ……!?」


私の体がぶわりと何かに包まれて、それが剣を弾いている。目の前の人が息を呑む音が聞こえて、同じくらい自分も驚いて、これの発生源であるポッケの中身を慌てて取り出した。


「え、嘘……!?」


私の手のひらに乗った指輪から、おびただしい量の炎が溢れ出ていた。






これは夢?いやいや現実

back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -