夏だ、
夏が来た。
アイスどころか脳みそ、いや体ですらとろける季節がやってきた。窓を開けたって風なんて入ってこないし湿度高いし、なのに体育ではしゃいで余計に体温あげて、私何やってんだか。暑いダルい眠いの三拍子で先生の話なんて頭のなかを素通りしていく四時間目。あぁ…暑い、もうだめ……






「あーっ涼しいっ!」


昼休み、暑さに耐えきれなくて、お弁当持って駆け込んだのは応接室。クーラーきいてるしジメジメしてないしで最高。うん、やっぱ真夏の避暑地はここだよね。ソファに座ってくつろいでたら、机で書類を片付けてる恭弥がため息をついた。あぁ、教室にもクーラーあればいいのに。まぁないものは仕方ないか。あ、そうだ今昼休みだよね、お弁当食べないと。保冷剤と共に包まれていた弁当を取り出してまだ微かにひんやりとしているそれをほっぺに当ててみた。夏場はすぐに食べ物痛んじゃうから、保冷剤入れてみたけど……、うん。大丈夫そう。


「いただきます」


ちゃんと手を会わせてそう言ってから、私はお箸で卵焼きを挟んでぱくり。我ながら今日のお弁当もなかなかの出来である。あー、でもあんまりお腹好いてないなぁ。これはもしや夏バテとか言うやつですかね。お箸を口に運ぶ手がだんだん動かなくなってきて、お弁当を食べることなくぼーっとする


「具合でも悪いの?」
「え?いや、そういう訳じゃないけど…」


いつの間にやら近くにやって来ていた恭弥が、少し心配そうな目で私を見ていた。


「ちょっと暑さにやられてさ…、食欲ないんだ」
「ふぅん」


あー、うーん……これ以上食べれそうにないな。片付けちゃおう。でももったいないな………せっかく作ったのにな……。何て思ってたら


「ねぇ、それ」
「ん?」
「食べてあげようか?」


恭弥から願ったり叶ったりの提案が!恭弥が食べてくれるなら無駄にならないし、よかった。あ、でもお箸ないから……
なら、


「はい」
「…………。」


今まで使っていたお箸で、食べきれなかったハンバーグを挟んで差し出すと、少し驚いた顔をされた。でもそれは一瞬で恭弥は差し出されたハンバーグを食べた後、自分で食べると言って私からお箸を奪う。それからお弁当を食べる恭弥をぼーっと見てたらいつの間にかお弁当箱は空っぽ、お箸を受け取って、軽くなったお弁当を鞄にしまった時ふと気づく。私ってこのお箸使ったよね?で、恭弥もこのお箸使った。……これって、俗に言う間接…き、き、きす?そう考えたらとても恥ずかしくなってきた。頭がそんなとこまで回ってなかったぁぁあぁ!!!こっそり隣に座ってる恭弥を見れば特にこれと言って何時もと違う様子は見られない。よかった、気づいてない。何て安心してたら、


「美沙」
「ん?」
「さっきの、間接キスだったって事気づいてた?」


こいつ、気づいてて何も言わずに箸使ったのか。恥ずかしくて恥ずかしくて真っ赤になる私の様子を見て、くすりと笑う恭弥。あれ、体が熱くなってきたよ?おかしいな、この部屋クーラーきいてるはずなのに。
あぁ、もうこれじゃあ

避暑地になんかなってない!!!



体感温度上昇中




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