「……っ!?」


全身を襲う謎の痛みに驚いて目覚めれば、なんだか知らないけどいつもと見える景色が違う。えっと、見た感じをそのまま言うと床が上で天井が下、あべこべな世界。寝起きでボーッとする頭をフル回転させて状況を理解しようとする。………あぁ、私ベッドから落ちたんだ。一つ大きなため息をもらしてから、とりあえず起き上がらなきゃと思い床に手をついて体を起こそうとした時、


「痛……っ」


左手首に痛みが走った。どうやら落ちたときに捻っていたらしい。まぁ利き腕は右だし、大丈夫かな?任務に支障は出ないと思う。とりあえずは湿布でも張っておこう。











「先輩、手首どうかしたんですかー」
「んー……、ちょっとね…」


後輩であるフランと一緒に敵対マフィアの屋敷に侵入中、一応長袖を着て目立ちにくくしてたはずの包帯に気付かれ、思わず口を濁す。だってベッドから落ちて怪我だなんて恥ずかしくて言えないよ(先輩としてのプライドがね……)


「結構包帯ぐるぐるですけど……」
「見た目が大袈裟なだけで大したことないから、それより、来たよ標的……」


標的はまさか自分を殺そうとしている暗殺者が、自分の家に潜んでいるなんて、露ほど知らずって感じの顔してる。まぁ当たり前だけど。逆に私たちの侵入がばれていたら大変なんだけどね


「標的確認、逃走経路の確保は大丈夫?」


通信機に向かってそう尋ねれば、完了したとの返事が来る。さあ今から殺りますかって時に問題発生。


「あーぁ、どうやら殺る人数増えちゃったみたいですねー」


標的が仲間と共に行動し始めたみたい。仲間といっても5、6人増えただけだから大した問題はないだろう。


「予定通り標的はここで殺ります。失敗しないでよ?人数が増えたからって言い訳は通じないわ」
「了解でーす」


間延びした何とも緊張感がない返事。本当に大丈夫なのと思っただけで口には出さないで、目の前のことに集中することにした。このくらいの人数、殺すのに手間取るなんてことはない。
両手に構えた消音装置付きの銃で、背後から悲鳴をあげる間も与えず撃ち殺していく。フランも同じようなかんじで、それでも私たちの気配に気づいたそうとう感がよかったやつは、逃げようとしたり反撃しようとしたり……。とりあえず、仲間を呼ばれたら厄介だから逃げようとした人から殺す。
運良く私の隙をついて駆け出したやつを、視線で追って左手の銃で撃ったとき、つきり、と痛みが手首に走る。どうやら銃の反動で捻ったのが悪化したみたい。その痛みに少し顔を歪ませながら残りを片付けようと振り替えったら、


「う、うぉぉおぉーっ!!」
「ちっ、」


喚きながら此方に突進してくるやつが一人。かわしきれなくて、両手で構えた銃で相手の刃物を受け止める。けど左手にちからが入らなくて、力を受け止めきれずによろめいた隙を見て相手が私に止めを刺そうと襲いかかる。
あぁ、私死ぬ。
と、思いきや襲いかかろうとした勢いそのままに相手は床に突っ込んだ。そのすぐ後ろには銃を構えたままのフランが立っていた。回りには私たち以外の誰も生きてる人間なんていなくて、死体ばかりが転がっている。


「先パーイ、大丈夫ですか?」
「あ、うん……」


どうやら私の窮地はこの後輩に救われたらしい。死の間際を体験し、放心していた私は我に帰って通信機でことが終わったことを伝える。
とりあえず誰か来る前にこの場を離れなくては








帰り道は終始無言。何故だか隣のフランはむすっとしていて、なんだか空気が重い。私何かした?というか私一応は先輩……、まぁ命救われた手前、文句も何も言えないけど……
迎えの車に乗り込み、後部座席に二人でいると言うのに会話がないって辛いな、なんて考えていたら、


「ちょっと、いいですかー」


答える暇も与えずにそう言ってすぐ私の左手をつかむ。あまりに突然で反応できなかった私は、捕まれた時の痛みで小さく呻き声を漏らした。


「手首、大したことないって言いましたよねー?」
「え、えーと……」


なんだか妙な凄みを感じて黙りこむ。なんで?なんだかフランから物凄い恐怖心を感じる。


「これの何処が大したことないんですかー?

言葉の意味わかって使ってます?」


「馬鹿にしないで、そのくらい……」
「この怪我のせいで危うく死にかけたんですよ?あんたその事理解してますか?」


言われたことが最もで反論できずにうつむく私。あぁカッコ悪。面目丸潰れだ。
しばらく車が走る音しか聞こえてなくて、ずっと私は下を向いていた。するとため息をついたフランが、掴んでいた私の手をおろして、その上に自分の手を重ねる。


「……心配、したんですよ」
「え………」


小さく呟かれた言葉と、私の手を握る彼の手が少し震えてて驚いた。


「あの時…目の前真っ暗になりかけたんですからね、先輩が死んだらって思うと…」
「フラン……ごめんね」


どうやら私はすごく心配をかけていたらしい。そのことが意外でまたなんだか嬉しくてフランの手にもう一方の手を重ねると、驚いたような瞳が私をのぞく。その瞳をまっすぐに見つめ返して私は言うんだ



「……っ!?」


全身を襲う謎の痛みに驚いて目覚めれば、なんだか知らないけどいつもと見える景色が違う。えっと、見た感じをそのまま言うと床が上で天井が下、あべこべな世界。寝起きでボーッとする頭をフル回転させて状況を理解しようとする。………あぁ、私ベッドから落ちたんだ。一つ大きなため息をもらしてから、とりあえず起き上がらなきゃと思い床に手をついて体を起こそうとした時、


「痛……っ」


左手首に痛みが走った。どうやら落ちたときに捻っていたらしい。まぁ利き腕は右だし、大丈夫かな?任務に支障は出ないと思う。とりあえずは湿布でも張っておこう。











「先輩、手首どうかしたんですかー」
「んー……、ちょっとね…」


後輩であるフランと一緒に敵対マフィアの屋敷に侵入中、一応長袖を着て目立ちにくくしてたはずの包帯に気付かれ、思わず口を濁す。だってベッドから落ちて怪我だなんて恥ずかしくて言えないよ(先輩としてのプライドがね……)


「結構包帯ぐるぐるですけど……」
「見た目が大袈裟なだけで大したことないから、それより、来たよ標的……」


標的はまさか自分を殺そうとしている暗殺者が、自分の家に潜んでいるなんて、露ほど知らずって感じの顔してる。まぁ当たり前だけど。逆に私たちの侵入がばれていたら大変なんだけどね


「標的確認、逃走経路の確保は大丈夫?」


通信機に向かってそう尋ねれば、完了したとの返事が来る。さあ今から殺りますかって時に問題発生。


「あーぁ、どうやら殺る人数増えちゃったみたいですねー」


標的が仲間と共に行動し始めたみたい。仲間といっても5、6人増えただけだから大した問題はないだろう。


「予定通り標的はここで殺ります。失敗しないでよ?人数が増えたからって言い訳は通じないわ」
「了解でーす」


間延びした何とも緊張感がない返事。本当に大丈夫なのと思っただけで口には出さないで、目の前のことに集中することにした。このくらいの人数、殺すのに手間取るなんてことはない。
両手に構えた消音装置付きの銃で、背後から悲鳴をあげる間も与えず撃ち殺していく。フランも同じようなかんじで、それでも私たちの気配に気づいたそうとう感がよかったやつは、逃げようとしたり反撃しようとしたり……。とりあえず、仲間を呼ばれたら厄介だから逃げようとした人から殺す。
運良く私の隙をついて駆け出したやつを、視線で追って左手の銃で撃ったとき、つきり、と痛みが手首に走る。どうやら銃の反動で捻ったのが悪化したみたい。その痛みに少し顔を歪ませながら残りを片付けようと振り替えったら、


「う、うぉぉおぉーっ!!」
「ちっ、」


喚きながら此方に突進してくるやつが一人。かわしきれなくて、両手で構えた銃で相手の刃物を受け止める。けど左手にちからが入らなくて、力を受け止めきれずによろめいた隙を見て相手が私に止めを刺そうと襲いかかる。
あぁ、私死ぬ。
と、思いきや襲いかかろうとした勢いそのままに相手は床に突っ込んだ。そのすぐ後ろには銃を構えたままのフランが立っていた。回りには私たち以外の誰も生きてる人間なんていなくて、死体ばかりが転がっている。


「先パーイ、大丈夫ですか?」
「あ、うん……」


どうやら私の窮地はこの後輩に救われたらしい。死の間際を体験し、放心していた私は我に帰って通信機でことが終わったことを伝える。
とりあえず誰か来る前にこの場を離れなくては








帰り道は終始無言。何故だか隣のフランはむすっとしていて、なんだか空気が重い。私何かした?というか私一応は先輩……、まぁ命救われた手前、文句も何も言えないけど……
迎えの車に乗り込み、後部座席に二人でいると言うのに会話がないって辛いな、なんて考えていたら、


「ちょっと、いいですかー」


答える暇も与えずにそう言ってすぐ私の左手をつかむ。あまりに突然で反応できなかった私は、捕まれた時の痛みで小さく呻き声を漏らした。


「手首、大したことないって言いましたよねー?」
「え、えーと……」


なんだか妙な凄みを感じて黙りこむ。なんで?なんだかフランから物凄い恐怖心を感じる。


「これの何処が大したことないんですかー?

言葉の意味わかって使ってます?」


「馬鹿にしないで、そのくらい……」
「この怪我のせいで危うく死にかけたんですよ?あんたその事理解してますか?」


言われたことが最もで反論できずにうつむく私。あぁカッコ悪。面目丸潰れだ。
しばらく車が走る音しか聞こえてなくて、ずっと私は下を向いていた。するとため息をついたフランが、掴んでいた私の手をおろして、その上に自分の手を重ねる。


「……心配、したんですよ」
「え………」


小さく呟かれた言葉と、私の手を握る彼の手が少し震えてて驚いた。


「あの時…目の前真っ暗になりかけたんですからね、先輩が死んだらって思うと…」
「フラン……ごめんね」


どうやら私はすごく心配をかけていたらしい。そのことが意外でまたなんだか嬉しくてフランの手にもう一方の手を重ねると、驚いたような瞳が私をのぞく。その瞳をまっすぐに見つめ返して私は言うんだ




ありがとう、って



不謹慎って言われるかもしれないけど、心配してくれたキミの気持ちが嬉しかったんだ
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