「おーい、大丈夫ですかー?」


談話室のソファに座ってぼーっとしていたら、頭の上から声がした。見上げればそこにいたフラン……。いや、あれはカエルの被り物……。と目があった。


「大丈夫って……、何が?」
「………。自覚症状無いとか最悪だ…。」
「自覚症状?」


意味がわからなくて首をかしげていたら、いきなりフランが私のおでこに手をあてた。あ、なんか冷たくて気持ちいい。


「やっぱり熱ありますねー…」
「熱?」


言われてみればなんだか朝からずっとダルいって言うか、今もくらくらしているような、


「あんた、最近ちゃんと休んでるのかよー」
「うん、やす、ん……でる、よ?」


そう答えながら目が泳ぐ。そう言えば最近任務が昼夜問わずあって、ちゃんとした睡眠取ったの何時だっけ?みたいな感じだった気がする……。


「ったく、しっかりしてくださいよ」
「ご、ごめん……」


体調管理もできないとか情けなさすぎだよね……。フランも私見てため息ついてるし……。うん、今日はしっかり休もう。


「じゃあ、私部屋行くね」


そう一言告げてから立ち上がった時、ぐらりと一際大きなめまいがして、よろめいた。倒れかけた私をフランが受け止めてくれて、私はふらふらする頭を手で押さえた。


「あ、ありがとう」
「かなり重症なんじゃないですか……?」
「大丈夫、大丈夫……」


自分でもヤバイかもって思ったけど、寝れば治るだろうし、だから早く自分の部屋へ。でもそれとは裏腹に、平衡感覚がおかしくなっててまっすぐに進みたいのに進めない。あれ、あれれ?


「………仕方ないですねー」
「え、フラン……って、えぇ!?」
「耳元でうるさーい」
「あ、ご、ごめん…。いや、でも自分で歩けるから!!」
「そんなふらふらしてる人が何言ってるんですか……」


いきなりからだが浮いたかと思うと、フランが私のことを持ち上げていた。しかも姫抱きという。恥ずかしさのあまり暴れたら、フランに呆れられた。


「黙っておとなしくしてろよ」
「無理!誰かに見られたら恥ずかしい!」
「そんなの気にしなーい」
「私が気にする!!」


降ろしてって言っても、フランは聞く耳持たずで進んで行ってしまう。確かに部屋まで自分でいくのは困難だと思うよ?でも恥ずかしいしフランに迷惑かけたくないし……。だから自分で歩けるって何度も言ったんだけど降ろしてくれない……。どうすることもできなくて、仕方なくおとなしく………と言うかうなだれていたら、フランが急に立ち止まった。これはチャンスと思い脱出を試みるもそれは叶わず、黙り込んでるフランに抗議の視線を送る。けど降ろしてくれる気配はなくて、私はため息をついた。なんで?なんでそこまで私を運びたがるの?


「ねぇ、なん……」
「心配なんですよ」


フランが私の言葉を遮って話し出す。


「………?」
「美沙が心配でこのままだったら仕事が手につきません。だからちゃんと、部屋に戻って休むのをミーに見届けさせてください」


驚いた。フランが私を心配してくれてたなんて……。私を抱いているフランを見上げると目があって、確かにその瞳は私を心配しているようだった。普段無表情な彼なのに、今はちゃんと表情がある。それが不思議でしばらく見つめていたら、急に視線を剃らされて、フランはまた歩き出した。


「じゃあ……、部屋までよろしくお願いします」
「………おとなしくしててくださいね」










その翌日、すっかり体調は良くなって任務に復帰。けど、どこから見ていたんだか、皆にからかわれて……。私は恥ずかしかったけどフランが楽しそうに見えたのは……ただの見間違い?
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