大掃除(ダアト編)



※「テイルズオブジアビス」で「六神将」寄りの「元気な主人公(オリキャラ)」のお話です。


「…ウィル、あっちも…です」
「あ、はいはい!では一緒に参りましょうか!」
辺りがドタドタと忙しなく動き回っている。私も例外じゃなく、アリエッタ様と共に図書室に向かう。
年末のダアト大掃除。毎年こんなではあるが、今年は特に埃が凄いらしい(トリトハイム談)。
「あれ、でも図書室はディスト様が担当するのでは?」
「そう…でも、逆に荒らしてる…です」
「あ、あははは」
やりかねない、と正直思った。というよりディスト様が問題を起こさない訳が無いと思っている。あの椅子の譜業をぶつけたりして、本が滅茶苦茶になっていないといいが。
意を決して扉を開ければ、すぐ横を辞典が通り過ぎた。アリエッタ様の方からゴツンと鈍い音がした気がする。
「…わぁーお」
アリエッタ様を見る前に、壮絶な光景が目に入ってきた。埃の舞い上がる室内、辺りに散り散りに落ちる本、ドミノ倒しの本棚。
酷い、酷すぎる。
「って、アリエッタ様大丈」
いない。先程まで横に立っていた筈なのに!慌てて見渡せば、何故だか既に図書室の中。しかもシンク様に向かっている。喧嘩勃発?いやいやまさかアリエッタ様がシンク様になんてね。「シンクの馬鹿!アリエッタに本が当たった!」
「アンタが避けないのが悪いんだろ。勝手に当たっといて何言ってるのさ」
喧嘩売ってたよー!さっきの本はシンク様が投げたんですね。というかラルゴ様もリグレット様も見てないで止めて下さい!
「ハーッハッハ!見なさいシンク!真面目にやらないからそういう事になるんですよ!」
「この状況を作り出したアンタに言われたくないんだけど」
その通りだ。やはりディスト様が引き起こしたのですね。私はススッとラルゴ様達の方に移動し、事の成り行きを見守り始めた。
「で、そこまで言うんだったら一人でやれば?」
「ディストがやるべき…です」
「あなた方仲間じゃないですかっ!共にやりましょう!」
「嫌だよ」
「嫌…です」
知らぬ間に2対1。とりあえず負けそうなのはディスト様。だと思ってたよ。だってあのお二方がディスト様と組む訳ないもの。哀れです。
「ムキー!いいですよ!あなた方に頼らなくとも」
視線が此方を向く。リグレット様とラルゴ様は即座に視線を逸らしたが、私はボーッとしていた為に合ってしまった。
し、しまった…!
「ウィルデリカ、やはり貴方は私の味方なんですねー!」
違ーう!とも言えず、突進してくる椅子から逃げようとしたが。
「遊んでんじゃねえ屑が!」
吹っ飛んだー!?何したんですかアッシュ様!?硝子の割れる音が響き、ディスト様は外に飛んでいった。ちょ、ちょっと、修繕費は多分ヴァン様のポケットマネーからになりますから!
「大丈夫かウィル?」
「怪我はない?」
「うう、ラルゴ様、リグレット様…」
労りの言葉痛み入ります。撫でて頂けるのは嬉しいのですが、掃除を考えると憂鬱になります。
「大丈夫よウィル、仕方がないから皆でやりましょう」
「何で僕まで…」
「お前にも責任はあるだろう」
「ウィル一人に任せるのは駄目…です」
「チッ、さっさと済ませるぞ」
皆さん…!六神将補佐兼譜術指導総括担当として働いてきてこんなに嬉しい事はありません。というかこんな事態を未然に防ぐのも役目だったんですが、そんなのは忘れよう。起きたものは仕方無いのだし。
「では、皆さんで頑張りましょう」
再び掃除を始めて、終わったのは翌日の朝。流石の私も眠い。アリエッタ様は既にライガと眠られていますが。いいなふかふか。
「さて、総仕上げは私がやりますね」
「すまないなウィルデリカ」
「いえいえ、ラルゴ様もお休み下さい」
そう言うと、軽く頭を下げて部屋に戻るラルゴ様。流石にここでは寝ないですよね。アリエッタ様を除いて。
「花瓶に花をセットして…終了!」
様々あったが、無事に終了させる事ができた。窓はきっとヴァン様が何とかして下さるでしょう。権力で。アリエッタ様を起こし、部屋に送ると、私も自室に戻り横になった。何か忘れているような…思い出しましたが、後でシンク様が何とかするそうですから良いでしょう。
そうして私は執務までの短い時間、アッシュ様のノックで起きるまで、深い眠りに落ちた。


年末大掃除。
次はきっと効率よく。


(って、ギャー!誰ですか私をこんな所に置いたのは!)(おかーさーん、変な人がゴミで遊んでるー。)


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