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いつからか始まったカウントダウン―――

「あと×日、か……」
「千佳…」

声をかけても千佳の瞳はどこか遠くを見ているようで、無性に不安になる

「ねぇ、千佳。俺はここに居るよ?」
「今は、でしょ?」

自分はここに――千佳の隣に居ることをわかって欲しいのに、想いは彼女に届かない。

「………はぁ…」

2月後半から増えたため息。
彼女がため息を吐く度に胸が痛む。
千佳には笑顔でいて欲しいのに、千佳にこんな顔をさせているのは自分だというジレンマ。
なら、せめて……

「………ちーかっ!約束しよう?」
「約束?」

千佳が不安にならなくてもいいように、未来を約束するのだ。

「そ!毎日電話すること、メールは一日十件がノルマ、俺よりカッコいいヤツがいても浮気しないこと、いつもお互いのことを考えてること、毎晩寝る前に俺の写真にキスすること。これが約束。」
「何それ、バイトのときとか電話できないし、テスト期間のときそんなにメールできないし、浮気は良くんのがしそうだし、
というか、最後の方何かおかしいし」
「大丈夫、俺たちなら大丈夫だよ。」

目を合わせて諭すように言うと、千佳は目を伏せて俯いてしまった。

「…………てやる…」
「え?」
「約束なんて破ってやる!」

悲痛な叫び
本当は助けて欲しいとわかっているのに、彼女に救いをあげられない自分。
無力な自分がもどかしくて仕方がない。

「毎日電話もメールしないし、カッコいい人と遊びに行ったりしてやる!いつも良くんのこと考えてるとか無理だし、写真だって捨てて、良くんのこと忘れちゃうかも…」
「千佳……」
「わたしそんなの耐えられないよ
きっと良くんのこと好きじゃなくなっちゃう。
そうなるんだったら、その前に…別れ「千佳!!」

今にも泣き出しそうな顔をした千佳の肩を掴んで、言葉を遮る。

「それは言っちゃ駄目だよ」
「どうして?好きじゃなくなるくらいなら、好きなままさよならした方がいいでしょ!?良くんもそれが怖いんでしょ!?」
「怖いよ。それでも、痛くても辛くてもそれだけは嫌だ。」
「……………い」
「え?」
「嫌い!嫌い嫌い嫌い!大嫌い!!良くんなんて嫌い!!もう好きじゃない!どこへでも行っちゃえ!!嘘つき!!わたしのこと忘れちゃう癖に!嫌い!大嫌い!!わたしのこと置いてく良くんなんか嫌い!!」


一息に言ったあと、千佳の顔が歪んで、瞳からは涙が零れた。


「……………行かないでよ…」


泣き出してしまった千佳の肩を抱き寄せ、自分の腕の中に閉じ込めて、震える背中を撫でる。
背中に回った千佳の腕がシャツをきつく掴む。

また胸が軋む音がした。





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遅くなってしまい申し訳ないです。
シリアス+ほのぼのでリクエストを頂きましたが、大分ほのぼの要素が消え…減ってしまいましたが、どうぞもらってやって下さい。

相互ありがとうございました。

2012.11.29
moon's voice 西宮 湊



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