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 ロスターに見送られ二人はアジトから外へ出た。
ひとまず旅の必需品を買いに市場の方へと向かう途中、レメンカはそう言えばと口を開いた。

「あの、先ほど話していたタツヤさんとは?」

 首を僅かに傾げながらレメンカが問うとイツキはああ、と小さく言った後思い出すように口元に笑みを浮かべた。

「オレの幼なじみで、けっこーいろんな所旅してんだ。もしかしたらエクセルリアって人に会ってっかもしんねーし、出来れば手伝って欲しいんだよなー……」

 頭の後ろで腕を組みながら戦力的にな…と呟くイツキに対し、レメンカは嬉しそうに笑みを浮かべた。

「幼なじみですか!素敵です!私にも居るんですよ、幼なじみ!……そうだ!彼女にもお願いしてみましょう!」

 レメンカは名案だと言わんばかりに何度も頷くと善は急げだとイツキの手を引き小走りで駆けだした。
イツキが慌てたように何度か止めようと声をかけるも、レメンカはそのまま市街地の方へと歩みを早めた。

 市街地の中心部付近に差し掛かった時だった。
見慣れた背丈の男を発見したイツキは今まで危ないからとしなかった強硬手段でレメンカを強制的に止め、その男に近付いた。

「……そう。見かけてないのね……時間を取らせてごめんなさい。どうもありがとう。」

「いや、構わないさ。それより大丈夫か?何か思い詰めてるように…」

「タツヤ!」

 イツキが男の名前を呼びながら背中に飛びかかると、男は衝撃で若干前屈みになりながらイツキのタックルを受け止めた。
レメンカが駆け寄ると男はイツキの姿を確認し驚いたような表情をした後、嬉しそうな表情をした。

「イツキ!久しぶりだな!元気にしてたか?」

「もちのろんだぜ!お前こそ、元気にしてたかよって…何々、彼女?やるねーお前も!」

 イツキはタツヤの背中から降りるとタツヤの目の前に立っていた女性に目やった。
女性はイツキの突然の出現に驚いていたようだが、一度大きくため息を着くと腕を組みあからさまに眉をしかめた。

「初対面なのに随分と失礼な口を聞くのね坊や。私がこいつの彼女?やめてくれるかしら。」

「流石に傷つくぞ…リジェ…」

 リジェと呼ばれた女性はふん、とタツヤ達から顔を逸らすと、ちょうど陰になってて見えなかったレメンカを発見した。
あ、とどちらともなく言うとレメンカは逃げようと方向転換した。が、それよりも早く女性がレメンカの腕を掴んだ。

「レーメーンーカー?どーいうことか説明してくれるわよねぇー?」

「り、リジェ?これにはふかーい訳が…あ、すみません何でもないです。」

 にっこりと笑うリジェを見てレメンカは冷や汗が背中を伝っていくのを感じた。
ただならぬ雰囲気の二人をみたイツキとタツヤはアイコンを取ると、ひとまずどこか店に入ろうと二人に進言した。
リジェがそれに頷くのを確認してから、四人(約一名は引きずられながら)は場所を大通りから小さなカフェへと移動した。

「……事情は分かったわ。まぁそんなことだろうと思っていたしね」

「俺も大体理解した。悪いが此奴とは会ったことないな……力になれなくてすまん。その代わりと言ったらなんだが、俺も手伝うよ。」

 レメンカが一通り説明を終えるとリジェは呆れたようにため息を着き、タツヤはそれを見て苦笑いしながら申し訳無さそうに謝罪した。
タツヤの言葉に肩を落としたレメンカだったが、肩をぽんと叩かれ顔をあげた。

「私も手伝うわ。あいつは嫌いだけどあなた達に任せてもおけないし……私はリジェール。リジェで良いわ。この子のお世話係ってところかしらね。」

「あ、俺はタツヤ。イツキの幼なじみでリジェとは古い知り合いなんだ。よろしくな」

 妖艶に笑むリジェと大らかなオーラの滲み出る笑みを浮かべるタツヤを見て、レメンカは思わず「宜しくお願いします。お父さん!」と言ってしまった。
固まるタツヤと盛大に噴き出すイツキと必死に笑いを堪えるリジェと赤面するレメンカと言う、なんともいえない構図が完成した瞬間だった。

「す、すみません!つ、つい……」

「アッハッハッハッハッハッ!さすがレメンカ!俺らに出来ないことを平然とやってのける!」

「それ以上は言わせねえよ!?」

「ねぇ、五月蠅いんだけど」









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