(おかしい)

(こんなことが起こるなんて…)

予想外の展開に臨也は目を瞠った。

大切に大切に育ててきた臨也の小鳥は気付いたら鳥かごから居なくなっていた。

(剰え牙を剥くなんて…)

小鳥に牙がある筈はない。小鳥は小鳥では無くなっていたのかもしれない。

(…人間は本当に面白い)

(いや、今こんなに心揺れるのは君だけだ)

本来なら腹を抱えて笑いだしているところだが、今は嘘の様に突き刺さる小鳥の牙にそれを阻まれる。

臨也は声も発さず、ただただ肩を震わせた。腹に小鳥の牙を抱きながら。

空っぽになった鳥かごを、ぺしゃんこに潰そうとして止める。

(そうだ)

(だってまた捕まえればいいんだから…)

(もっと俺を楽しませてよ!)


空っぽの鳥かご
(今だけ、ね)





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