※死ネタです
「ねぇ、鬼灯」
「何ですか、白澤さん」
普段は断固として呼ばないくせに。
「お前、僕のことが好きなんだろ?」
「えぇ、不本意ながら」
うん、知ってた。
「何それ。なんか素直過ぎて気持ち悪いよ」
「失礼ですね、自分から聞いておきながら。今日くらい、サービスしてやってもいいかと思っただけです」
今日?今日って何かの記念日だっけ?
「ふふ、僕もね、お前のことが好きなんだ」
「知ってますよ」
うん……。
「鬼灯」
「はい」
「どうして、こんなにも胸が痛いんだろうね」
知りたくない。
「…それは、貴方が現実を受け止めつつあるからじゃないですか」
「夢も現実も何も、ここは桃源郷だよ」
「そうですね。だから、最後にもう一度だけ、言ってやりますよ」
聞きたくない。
「私は、貴方のことを慕ってました」
「…っ」
最後だなんて言うなよ。
「鬼灯っ!」
…あぁ、
視界が滲んで、何もみえない。
ただ、お前が消えた現実が受け入れられない。
「 」
もういないお前が育てたこの気持ちは、どこにいくの――…。
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