「臨也さんは人間を愛してるんですよね?」
「そうだよ」
何の躊躇いもなく曇りのない目をして頷くあなた
「じゃあ、僕が他の人を愛しても文句ないですよね?」
するとあなたは顔を歪めて僕を抱く手に力を込めた
口から絞り出された冷たい声で発せられたのは、
「そんなことは許さない」
そうしたら君を殺すよ
本当に身勝手な人だな、と苦笑を漏らして、臨也さんの背に腕を回す
人間を愛していると豪語するその口で、同じように僕に愛していると囁くクセに
僕が誰かを、あなた以外に愛を囁くことを許さないなんて
けれど、それに心満たされている自分はいったい何だというのだろう
敢えて殺されてみようか、なんて考えが浮かぶ自分は相当にこの人に感化されてしまっているに違いない
それで一生あなたを繋ぎとめておけるというのなら
喜んでこの命を捧げましょう
[*前] | [次#]