アンタに殺される夢を見た。

真っ暗な空間に俺とアンタが居て、辺りは気味が悪いくらい静かで、いつも煩いアンタが何も喋らない。

いつもは槍を握るその指が、ゆっくりと首に絡み付くのを身動き一つしないで見つめていた。

首に触れた指に力がこもって、圧迫感が込み上げて、息がどんどん苦しくなって。それでも抵抗はしなかった。

苦しさに歪む俺の頬にふいに雫が落ちてきて、霞む視界にアンタの目から溢れるそれを見た。
気付けば自分の頬にも同じものが伝っているのがわかった。

意識の途切れる寸前に、唇に温もりを感じた。

あぁ、これは夢だ、と改めてそう思った――…。


意識が浮上して目を開いたところで暗闇なのは変わらない。
きっと寝てからまだ一刻ばかりも経っていないだろう。

あんな夢の後なのに、首を絞めるあの感触をしっかりと覚えているのに、俺の心は凪いだままで。

自分の首にそっと触れてみる。

そこには温もりは勿論、何の痕跡も残ってはいなかった。

けれど、自然と頬は緩み、凪いでいた心には悦が込み上げる。

他でもないあの人によってそうされることを、自分は望んでいる。

夢によってそれに気付いたのか。
見ないふりをしていただけで心の奥底にそんな思いがあったからあんな夢を見たのか。

そんなのはどちらでもいい――…。

もっと夢を見させて

俺を殺すのは、
きっと貴方なのでしょう






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