戦が終わって世が平和になれば戦忍なんてお役御免だよね、なんてぼやいた俺に、旦那は言った――

戦が終わっても共にいてくれ、と――…


嘘を吐くことが苦手だった真っ直ぐすぎる旦那と、嘘が常套手段だった卑怯者な俺。
人を疑うことを知らない旦那はすぐに騙されて、俺はちょっぴり罪悪感を覚えたりして。
必死に嘘吐いた旦那には騙されたふりをしてあげたりしてさ。

アンタは言ったんだ。戦が終わっても共にいよう、と。
忍はもう必要ないでしょ、と本当は嬉しいくせに素っ気無く言った俺に、忍としてではなく世話役としてだ…なんて冗談を本気で口にする旦那。
あぁ、成る程ね…なんて納得するふりをしてみる俺。

その夏、アンタは言ったでしょ。
この戦が終わったら休みをやる、って。
俺は、本当ですか?なんてどうせそんなものもらえないんだろうと思いつつも、とりあえず喜んだふりをして。ついでに給料上げてくださいよ、なんて調子にのったっけ。


なのに、ねぇ――…
俺はこんなもの、望んじゃいなかった。こんなことなら、休みなんてないままでよかった。
散々働かせてきたからって、いくらなんでも長すぎるでしょうが。
本当に、旦那は限度ってもんを知らないんだから。

嘘が真実で、真実が嘘ならよかったのに。

戦が終わっても共に――…いたかったよ

この戦が終わったら休みを――…いらないから

俺が本気で騙された最初で最後の嘘。
どうせ嘘だろうと思っていた最後の真実。
――逆ならよかったのに。

こんなに長すぎる休みなのに、旦那と過ごすことができないなんて。
こんなに静かな休みは初めてだよ。いっつも、旦那が俺の名を呼ぶから。
けど、これからは、いくら待ってもお呼びがかかることはないんだね。

休んでいいのなら、せめて旦那の傍で眠りたかった。

でもきっと、近いうちに俺もそっちにいくから。
だって、旦那がいないこんな場所で休みなんていくらあっても意味ないじゃない。
今更他の奴に仕える気にはなれないし。
だから、それまで団子はおあずけ。俺をおいて先にいった罰だよ…なんて、護れなかった俺が言うのも筋違いか。

アンタは最高の主だった。
だからさ、主のために奮う忠実な忍の最期を、そこから見守っていて――…。




(旦那の傍に居ること)







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