※学生パロです。




空を頻繁に見上げるようになったのはいつからだろう――…。

バタンッと乱暴にドアが開く音がした。誰が来たのかはその荒々しさやドカドカという足音で分かった。だいたい、ココに来る人間自体限られてるわけだし。

「……オイ」

昼休みの真っ最中、そろそろ季節も冬に変わろうかという寒空の下、屋上で大の字に寝転がってぼーっと空を眺めていた視界に勢いよく映り込んできたバカ面。

「何、呑気に寝てんだよボケ」

ボケ言うなボケ。

「あー、誰かさんのせいですっかり冷えちまったな」
「あぁ!?」

寝転がっていただけで冷えてしまった俺に対して、おそらく走って来たであろうイヴァンは額にうっすら汗をかいている。
あったかそーだな……。

「それより、メシは買えたのけ?」
「…ったりめぇだ!!ホレ」

自信満々に目の前に差し出されたのは、昨日賭けゲームで見事勝利した俺への献上品。
購買のパンってマジうまいんだよな。そのうまさのおかげで競争率が高くて自分で買う気にはならねぇケド。

「オラ、とっとと…んっ!?」

体を起こしながらパンの入った袋を受け取り、顔が近かったからついでにキスしてやると、イヴァンは目を見開いて少し後退り、真っ赤な顔で睨み付けてきた。

「な、にしやがるっ!!」
「何って…キスだろ?」
「んなこた分かってんだよ」
「じゃー何だよ」
「お前、何か企んで……」
「はぁ?ねぇっての」

ほんとバカだな。バカバカ…バカイヴァンめ。

「…ぁんだよ!?」

内心毒を吐きながら視線を送り続けていたら、居心地が悪くなったのか眉をよせたイヴァンの視線が飛んできた。

「んにゃ、ちーっとばかり見惚れてただけヨ」
「ば、っかじゃねぇの!?」
「いやいや、イヴァンちゃんったら男前なんだから」
「キショイ!!」
「まぁ、失礼ネ」

せっかく褒めてやったのによ。…ちょっとからかい口調だったのが悪かったのか?いや、素直じゃないイヴァンが悪いんだろ。うん。そーそー…。
一人納得していると、イヴァンの顔がすぐそばに迫っていた。あ、このバカ…。

「んっ……」

少し荒っぽく唇が重ねられて、舌を絡ませて…熱いキス。
チラッと目を開けて、イヴァンの顔を見る。伸し掛かられるような体勢のためイヴァンの背後に映り込んだ空も自然と目に入る。
青い……太陽に照らされたイヴァンの髪がキラキラと輝いて空の青に溶けるようだ。
同じように美しいブルーグレーの瞳が閉じられているのが残念に思えた。

そして、ゆっくりと目を閉じて、イヴァンの背に腕を回し再びキスを貪った。



(お前の姿が浮かんじまう
…なんてナ)




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