※「このキス一つで、」の及川sideです








その子は、一目見た時からキラキラと輝いていた。
小さくて、可愛くて、おまけに強い。
この気持ちが恋だと気付くのに、それほど時間はかからなかった。
とりあえず岩ちゃんに報告したら、何故か思い切り殴られた。
まぁ、それで気持ちが変わるなんてことあるはずもないけど。

どうやってオトそうか、どうやってこの想いを伝えようか。
女の子とは勝手が違う相手に色々と考えてみたけど、手探りしている内に事態が動いた。
まさかチビちゃんの方から告白されるなんて、思いもしなかったものだから。それはもう舞い上がりそうになってやばかったけど、そこは理性でなんとか抑え込んで、無難に気のないふりで「いいよ」なんて言っちゃったりして。
あの時の驚きと喜びが混ざった表情は堪らなかったな、と今になっても思い出すだけでついにやけてしまう。
その前のぷるぷる震える姿も可愛かったけど。

積極的にデートに誘ったのは俺の方。
お許しを貰ったんだと思ったら急に時間が惜しくなったから。
そっちの方が効率がいい、なんて手慣れてるわけじゃなくて、ほんとにただ我慢が出来なかっただけ。
どれだけ好きなんだ、って笑っちゃいそうになったくらい。

デート中、外で手を繋ぐと、チビちゃんは面白いくらいに真っ赤になって。
おろおろ周りなんか気にしちゃったりして。
俺だけ見て、って意味で握った手に力を込めても逆効果で、なかなかうまくいかない。
不躾に声をかけてくる女の子もいないし、チビちゃんは自分のものだって主張できるからやめようとは思わないけど。

何回も何回も繰り返し「可愛い」って言ってるのに、毎回赤くなるチビちゃんが可愛過ぎて。
たまに「及川さんみたいにカッコよくなりたい」なんて言ってくれちゃうチビちゃんを思わず抱きしめたくなって。
そのままでいいのにって心の中だけで考えてにっこり微笑む。

デートの別れ際、ふいに離した手が、心が、寂しくなって。
名残惜しそうにするチビちゃんをみてたらもう我慢できなかった。
不意打ちでキスしたら、大きな目を真ん丸にしてこっちを見るもんだから。
「目を閉じて」って言うと素直に従うその姿が可愛くて。
二度目のキスは一度目よりちょっと長めにしてみた。

見上げてきたチビちゃんの顔は林檎みたいに真っ赤で、危うく襲ってしまいそうになったから、それを押し殺すためにもいつも通りの笑みを浮かべた。


たった一つのキスで、
殺られてしまいそうです
(これ以上ないほどに君が好き、だとか)




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ということで、及川さんがちょっと格好つけてるだけでちゃんと両想いです。



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