光が強い程、影は濃くなる

そう、思っていた



―――――――

その空間は、只々真っ白だった
黒の侵入を欠片も許さないくらいに眩い白

光は影を喰ってしまったのだ
光で覆われたそこに、影は存在することが出来なくなった

「…テツ?」

常に一緒だった小さな姿を探すように辺りを見回す
影は常に光とともにあった
支えあっていたと思っていたそれは一方的な支配に変わる

「おーい、テツー」

何もないし誰もいない
影だけではなく、最早自分に付いてこられるものなど存在しないのだ

孤独に光の中立ち尽くす

真っ白な空間の中にぽつり、水色が滲む

「僕は、ここに居ますよ」

切な気に顔を歪めた水色が、広大な青に手を伸ばすが届かない
手も、声も、今の自分では届けられない
そこから一歩も動けないまま、その姿は滲む

僕がもっと強くならなければ…君を一人にしてしまった責任は僕にもある
せめて僕がもう少し強ければ…いや、それでも君はバスケを楽しめなくなっていたかもしれない

かつては最強の相棒だった
互いに互いを認めて高め合ってきた筈だった
しかし、影は光に喰われてしまった
影が光の眩しさに目を細めても、光はもう影には気付かない

「テツ」

あぁ、遠いな……

ぷつり、水色は姿を消した

――――――――――

「よぉ、テツ」
「青峰くん」

驚きに目を見開く
久しぶりの再会に、その姿に驚いたわけではない

瞠られたそれは徐々に細められ、微かな笑みを作る

「どうした?」
「いえ、何でもありません」

また、僕を認識出来るようになっている
つまり僕は、あの時よりは、君の光の片隅にでも存在出来る程度には、強さを得たということ

君の隣に立てないのは今更どうしようもない
君の影にはもうなれない

だから、今度は僕が、君を喰う番です



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