基山ヒロト
私は基山が嫌いだ。なぜなら、張り付けたような笑みを浮かべるから。
「ねえ、苗字さん。」
『なに』
冷たく言い放つと基山はわざとらしく溜息を吐いた。私のが吐きたいっての。
「もう俺はグランじゃない」
エイリアじゃない。そう基山は言いたいのだろう。
そんなこと、私にだって分かってる。でも、あの張り付けような笑みが私は嫌いなのだ。
『分かってるよ。』
「じゃあ」
なんで。と基山は続けた。多分いや絶対に私が基山を避けていることだろう。あぁ、なんで聞いてくるのだろう。今日は厄日か。
『決まってるじゃない。基山の、その張り付けた笑みが嫌いだから。』
すると基山は豆鉄砲を喰らったようた顔をした。
そしていきなり笑い出した(狂ったか)
「厳しいなぁ…でも、この笑顔、結構役に立つんだよ？あっ、でも苗字さんに対しては効かないね。」
だからなんだと言うのだ。
「じゃあ、苗字さんの前でだけは素直に笑おうかな」
そう言って、基山はふんわりと、張り付けたような笑みでなく、綺麗な笑顔を浮かべた。
落ちた堕ちた。