神話について
神話について
この世界には、とある少年とリュウの神話があります。
ある世界に、果てしなく広がる大陸がありました。
その土地には終わりがないと言われるほど、地平線は何処までも続いていました。
この大陸では、人と動植物が共に暮らしていました。
大陸の空には、夜になると毎晩美しいオーロラが浮かびます。
オーロラの明りに照らされ、大陸も美しく煌めいていました。
あるとき、一人の少年が大陸の果てへと旅に出ました。
辿り着けるはずがないと、人々は彼を止めましたが、少年は構わず旅に出ました。
少年が旅に出て、多くの夜が過ぎ、季節は巡り、人々は彼はもう戻らないだろうと口をそろえて言いました。
五十年ほど時が流れた大陸では、大規模な飢饉が広がっていました。
作物は上手く育たず、水は枯れ、人々は飢え死を待つばかりでした。
そんなある日、彼はとうとう故郷へ帰ってきました。
彼の目は、まるでオーロラを切り取ったかのように輝いていました。
驚いた人々に向かって、彼は語ります。
『大陸の果てを見た。そこには空に輝くオーロラが海のように広がっていて、それはそれは美しい場所だった』
『オーロラの海で、みたこともない生き物が泳いでいた。その生き物には固い角や大きな翼があり、鋭い爪と長い尾、煌めく鱗を持っていた』
『私はそれを“リュウ”と呼ぶことにした。リュウと私は友達になった』
『ある日リュウは、私を背に乗せ、オーロラの海を渡った。私が歩いた大陸のように、果てのない海を飛び続けた』
『いつのまにか、私は眠っていた。そして目が覚めたとき、私は海を越えた先、リュウたちが暮らす大陸に辿り着いていた』
そして彼は、口笛を吹きました。
その音色はオーロラの浮かぶ空へと溶けていきます。
すると、力強い羽ばたきと共に、一匹のリュウが舞い降りました。
リュウの鱗はオーロラのように美しく、その息吹は枯れた大地に生命と清らかな水をもたらしました。
かつての少年とリュウは、大陸を巡り、すべての土地と人々を救いました。
人々はリュウを神と讃え、リュウを連れた彼を神の朋友として崇めました。
この神話から何百年と時が流れた今。
大陸には5つの国ができました。
広大な土地には、人や動植物、竜と竜人が共に支え合い生きています。
[ 2/5 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]