today is sunny


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「俺は大きくなって、あの頃は良かったとかあの頃に戻りたいとか思うのは嫌だ。昔も、今も、これからも、胸張って楽しんで生きていきたい。黄金聖闘士だろうが何だろうが、過去に立ち返って憧憬するような事はしたくない」

だからお前が必要なんだ、と蠍と言うよりは毛むくじゃらの大きな猫のような彼は言った。
知っている、と私も言った。嘘偽りは無かった。

「・・・・・・どうして、お前なんだ」

その言葉は一体誰に問うたのだろう。
静かに私を抱き締めた彼はいつものように熱くて、太陽の香りがした。
向日葵のような瑞々しい金色の髪の毛が視界の半分を占めている。
光を帯びて熱と輝きを発するそれが、血の色を透かす私の瞳には鮮やかすぎるほどに美しく映った。
彼の名前を呼ぶ。
一瞬だけぴくりと動く気配がして、私を抱き締める腕に力が籠った。
肩口へ頭を埋めた彼が、私の名前を呼ぶ。
視線を持ち上げて視界を埋めたのは、いつもと何も変わらないギリシアの碧空だった。

明日、私はシベリアへ行く。


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