やっぱり、億分の一と億分の一とが引かれ合うのって凄く難しい事だと思うの。だからこそ、私は今日好きだった人に振られたんだし、今までだって沢山の別れを経験してきた。出会いがあるからこそ、必ず別れがあるわけで。そう考えると出会う意味があるのかな、ってたった今、告白されている真っ最中なのにこんなことを考えてしまうのも、そしてすぐに返事を返す事が出来ないのも、全て仕方がないことだと思うの。だって必ず「別れ」はやって来るのだから。
「…今日ね、失恋したの」
「あァ、知ってる」
「傷心につけこむんだね」
「……悪ぃな」
見た目とは似合わず、肩をしゅんと下げる幼なじみの冬獅郎。そして、続く沈黙。これでは拉致があかない、と何かを言わなければならない衝動に狩られる。取りあえず何か喋ろうと口を開けた瞬間、冬獅郎は言った。
「前に好きだった奴より、好きになってもらえるつもりはねぇけど……」
「……え、」
「努力は、するから…」
「………」
「だから、笑ってほしい」
好きになってほしいじゃないんだね、と言うと、いや、その…とほんのり頬を染めながらどもる。これが夕映えのせいでないのは一目瞭然だったけれど、夕陽が綺麗だね、と呟きお互い笑った。
好きになる努力
(別れは必要なのかもしれない)
(だって出会いがあるから)