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最後の言葉を聞いたのはどっち?


ガタガタと揺れる車内で頬杖をついた。
温度の差から白く曇っている窓。
指でなぞってみれば外はもう十分寒く雪もちらちら降っている。
僕はその景色を見てから丁度車内販売に来た美人だと言い難い女性に声を掛けた。
「あの、コーヒーありますか?」そう言うと女性はにっこりとした営業スマイルを僕に振りまいた。
「はい、ございます。暖かいコーヒーでよろしいでしょうか?」僕が頷くと「200円です。」と女性は言う。
200円を渡しコーヒーを貰った。コーヒーの缶は冷たい手を癒すかの様。
缶がぬるくなったところでプルタブを開け、喉に流し込む。
体内に暖かさが浸透するのが分かる。心や脳までもが落ち着くようだ。
揺れと程良い温度から出来事をしっかりと整理出来た。

僕は電車に乗る前ある1人の女性といた。
幼馴染であって付き合う対象にはならなかった。僕も彼女との今の関係が崩れるのを恐れていた。
でも僕が上京しなければならず、見送りに来てくれた。
その時決めてた。電車に乗る前、直前に告白しようと。
電車のベルが鳴ると同時かそれより少し前。
僕は今までの気持ちを言い、電車の中へと入った。
ドアの前で彼女が口を開いた瞬間ドアが閉まった。
ドアの外で彼女は笑顔だったんだ。


彼女の言った言葉はなんだったのだろうか。
僕にはその答えを聞く勇気が無い、唯の弱虫な男さ――――。


最後の言葉を聞いたのはどっち?

YES or NO ?

END
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