神喰 | ナノ
気持ちを理解しろ。


雨宮リンドウがアナグラに居ないと静かということがよく分かる日々。

リンドウが行方不明になってから数日。帰ってくるという人もいれば、もう帰って来ないだろうと言ってる人もいた。榑林美華沙は前者になるだろう。
しかし雨宮ツバサからリンドウの探索は中止になったという知らせが大々的に言われた。
橘サクヤはツバキに反抗していたが美華沙は無言のまま自室に戻った。

部屋に入りベッドへとダイブする。その瞬間糸がプツンと切れたように泣いた。
「リ..リンドウ..さ..ん...」
暗い部屋で一人鼻を啜る音が響く。

泣いても泣いても涙が枯れない。
拭いても拭いても涙が止まらない。

美華沙はリンドウに何度も助けられてる間に密かに心を寄せる存在に変わっていったのだった。
先輩であるサクヤがリンドウと関係があることも知っていたのにも関わらず片思いでも話せれば良いという考えだった。

その考えも削除されてしまった。

美華沙はリンドウのことについて噂だけを聞いていた。
もしかしたら本当は生きてるのではないかという期待もあった。
しかしこれこそが真実であり、美華沙は信じたくなかった。

ソーマと美華沙はフェンリルに入った時から一緒にミッションに行ってた仲で、親友に近い。そのソーマにも言われたからか、美華沙は真実だということを承知の上で泣いているのである。

「何で..リンドウさ..帰って..き..よ」

美華沙は1時間経った今でもずっと静かに泣いている。

「美華沙。入るぞ?」

扉の向こうでソーマの声が聞こえた。
ソーマはそのまま部屋に入って来て美華沙の隣に腰を下ろした。

「大丈夫か?一旦泣き止め。」

いつもは無愛想なソーマだが今回ばかりは気を掛ける。
いや、ソーマは美華沙だけ特別だった。
ソーマは美華沙のことが好きなのである。
それを言わないのはリンドウのことが好きだということを知っているから。
美華沙がリンドウのことを話す時の顔つきが違うことをソーマは分かり、それ故に言わないという選択肢を取ったのだった。

「無理..ソーマ..ここにいて。」

そう言って美華沙はソーマの背中に寄りかかる。

「あぁ。」

短い返事をして二人は無言になる。


少し時間が経った。
ソーマは横から美華沙を見るとスースーと寝息を立て、寝ている。

「美華沙..。お前は俺の気持ちも分からないから直ぐにアラガミにやられるんだ。」

小さく呟きながら美華沙の前髪を触る。

「何を言ってるんだろう、俺は。」

ソーマは苦笑しながら頬に軽くキスをして美華沙の部屋を出た。


(お前の中では俺は親友以外の何でも無いんだよな....。)



END

リンドウさんの方が好きなのにソーマの方が書きやすいのは何故?
リンドウさん増やします!!



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