俺の住んでいるマンションの隣の部屋には、裕太くんという昔から仲良くしてもらっている五歳年上のお兄さんが住んでいる。俺んちは母子家庭で母さんも夜遅くまで働いていることが多いから、よく晩ご飯はごちそうになっている。今日もお邪魔させてもらう日だ。

「よお、仁。今日は遅かったな」
「うん、部活長引いちゃって」
「入れよ」
「お邪魔しまーす」

 裕太くんに続いてリビングへ向かう。俺の家と間取りは一緒だけど、裕太くんちのほうが広く感じるのは、やっぱり綺麗に片付いているからだろうか。

「今日は親帰ってこないから俺と仁の二人きりだぜ」
「え、じゃあ裕太くんの手作り料理?」
「悪かったな、俺の手作りじゃ不満か?」
「ううん、嬉しい。裕太くん料理できたんだね」
「失礼な奴だな」

 リビングのテーブルには、もう料理が配膳されてあった。俺の好きなカレーだ。

「やった、カレーだ!」
「おかわり用意してるからな」
「わーい!ありがとう裕太くん」

 それから俺は裕太くんとカレーを食べた。そのあとは片付けの手伝いをして、部活終わりにそのまま来たからシャワーも貸してもらった。裕太くんもシャワーを浴びて、今は裕太くんの部屋で二人並んでベッドに座ってジュース飲みながら二人でテレビを見ている。

「ねえ裕太くん」
「ん?」
「大学って楽しい?」
「んー、まあそこそこ。お前は学校楽しいの?」
「部活は楽しいよ。授業は無理」
「無理ってなんだよ」

 俺は高校二年生で裕太くんは大学三年生。俺が幼稚園の頃から遊んでもらってきたから、かれこれ十年以上一緒に居ることになる。裕太くんはいつの間にか成人してしまっているし、大学卒業して社会人になったらもう遊んでくれなくなるのかと思うと、今から寂しくて仕方ないのだ。

「あ、そういえば裕太くんはお酒飲まないの?」
「なんだよ急に」
「だって成人してるのにお酒飲んでるとこ見たことないから」
「まあ飲むっちゃ飲むけど、俺すぐ酔っちゃうから」
「へえ…」

 裕太くんは酔ったらどうなるタイプなんだろう。ちなみに俺の母さんは酒飲んだら仕事の愚痴が止まらないタイプだ。俺はよくその愚痴を聞かされる。裕太くんもそういうタイプなのかな。そういえば俺、裕太くんの学校での姿を見たことないし話も聞いたことがなかった。もしかして、酔わせちゃえばいろいろ話を聞けるチャンスなんじゃ…

「じゃあ裕太くんお酒飲んでよ」
「なんで。やだよ」
「お願い〜!裕太くんの酔ってるとこ見てみたい!」
「…どうなっても知らねえからな」

 裕太くんは溜息を吐いて部屋を出ていき、しばらくすると缶ビールを三本持ってきた。

「あ、でもどうしよう、裕太くんが泣き上戸だったら俺対処できないかもしれない」
「安心しろ、泣き上戸じゃねえよ。たぶん」
「たぶん…?」

 裕太くんは缶ビールを飲みはじめた。ジュースが缶ビールに変わっただけで、さっきと変わらず二人でテレビを見ながら笑っていた。しかし突然、その時はやってきたあのである。

「じ〜ん〜!」
「えっ、わぁっ!」

 隣でビール飲んでた裕太くんが突然抱きついてきた。床には空になった缶ビールが転がっている。え、もう三本飲んだの?

「仁、可愛い」
「え、え、何?」

 裕太くんは俺の耳や頬にキスしてきた。まさかのキス魔になるタイプ…!

「ちょっと裕太くん、くすぐったいから」
「うるさい」
「ちょっ、んぅ」

 そして俺のファーストキスは裕太くんに奪われてしまった。やばい、裕太くんの舌が俺の唇舐めてる。俺は自分の口をギュッと閉じた。

「仁、くち開けて」
「…」

 俺は口を閉ざしたまま首を横に振った。すると裕太くんは不機嫌そうな顔をして言った。

「いいよ、無理やりにでも開けさせるし」

 裕太くんは俺の鼻をつまんで、またキスしてきた。鼻をつまむのは反則だろ…!

「苦しいだろ、早くくち開けて」

 裕太くんが俺の唇をペロペロ舐めながら(犬みたい)、空いた手で俺の脇腹をさすってきた。ダメだ、苦しいしくすぐったいし頭もボーっとしてきた。

「…プハァッ!」

 限界がきて俺は口を開けて息を吸い込んだ。と思ったのに、それと同時に侵入してきた裕太くんの舌のほうが衝撃だった。いつの間にかつままれていた鼻も解放されていた。

「んぁゆう、ゆたくん、んぅ」

 裕太くんの体を押し返そうとしてもビクともしない。それどころか、俺は裕太くんに押し倒されてしまっていた。

「んんっ!?」

 待って、なんか股間に当たってるんだけど。え、もしかして裕太くんのチン…

「ちょ、裕太くん!!」
「なに…」
「なに、じゃないよ!」

 裕太くんを無理やり押し返して、俺は抗議の声をあげた。裕太くんは不機嫌そうな顔で俺を睨んだかと思えば、俺の言葉に耳を傾けることなく、俺のズボンを脱がし始めた。ちょっと待って。話を聞いてくれ。

「裕太くん!何してるの!」
「なんかさ〜。俺、酔うとエロいことしたくなんの。欲求不満なのかな」

 知るか、そんなこと。でも裕太くんに酒を飲ませたのは俺だし、あんまり強く拒否できない。こういうところ甘いんだなって分かってるんだけど。

「俺さ、仁にはずっと優しいお兄さんとして接してきたけど、実は全然優しくねーの」
「…へ?」
「俺、好きな子の苦しんでるとこ見るのが好きなんだ。女の子と付き合ってもSMプレイしたいって言ったら引かれるし、まあ一応頼み込んでやらせてはもらえるんだけど、女の子のほうがそれに耐えきれなくて俺はいつもそれが原因でフラれてきた」

 …俺は何を聞かされているのだろうか。十年以上俺の面倒を見てくれて優しくて大好きな隣の部屋に住む裕太くんの性癖なんて、知らずに人生を終えたかったよ。

「仁、今回は俺に酒を飲ませたお前が悪い」
「え、俺が悪いの?」
「そうだよ。だから、責任とって今日は俺の性癖に付き合ってよ」

 酔ってるせいなのか、顔を赤らめて不気味に笑う裕太くんを見たのが最後。そのあとすぐ俺は気を失った。何が起きたか分からなくて、でも次に目が覚めた時、俺はベッドの柵に腕を拘束されて身動きが取れない状態だった。

「仁〜。やっと起きた〜」
「うっ…」

 俺の上に馬乗りになっている裕太くん。めちゃくちゃ酒臭かった。ベッドの下の床にはビールの空き缶が数本増えていた。

「え!?ちょっと、ズボンどころかパンツまで脱がされてるんだけど!?」
「うん、俺が脱がせた」

 恍惚とした表情で俺のチンコ見つめてる裕太くんマジで狂ってる。もしかして俺、今からヤバイことされちゃうのか?女の子ともエッチしたことないのに?

「待って、裕太くん。いったん落ち着こう」
「俺は落ち着いてるよ」
「全然落ち着いてなっ、んあぁっ!」

 俺が最後まで言い切る前に、裕太くんは俺のチンコを手にとって扱き始めた。変な声出たし最悪…

「はは、仁のチンコ触んの、小学生の時に一緒に風呂入った時以来だな」
「なにッんぁ、覚えてなっ、んんぅ…」

 待ってこれどういう状況?俺、裕太くんになんで手コキされてんの?女の子にもしてもらったことないのに??

「ちょっまっ、あぁんっやっやめっ…!」

 自分でやるのとは全然違う。予想できない動きに、俺のチンコは意思と反して固くなってゆく。勃ちあがっていくソレを見て、裕太くんは嬉しそうな顔をしている。

「仁、可愛い」
「なんれ、ひゃぁんっ!」

 どうしようどうしよう。気持ちよくなりたくなんてないのに。次第に息が上がってくる。動悸が早くなって、チンコの裏のところがジンジンする。最近自分でも弄ってなかったからか、俺はすぐに絶頂に押しやられた。

「まっれ、ゆうたくんっ!イク、イクからぁあぁっ」
「ふふ、いいよ」

 待ってと言ってもやめてはもらえず、それどころか余計に激しく手を動かされ、俺は腰を持ち上げた情けない姿であっけなく果てた。

「んぁッ……〜〜〜ッ!!」

 長い長い射精だった(ような気がする)。俺は肩で息をしながら賢者タイムに入ろうとしていた。けれど、裕太くんのせいでそれは叶わなかった。

「俺さ、見てみたいことがあるんだ」
「え、な、なに」
「男でもできるらしいよ。潮吹き」

 裕太くんの手の平が俺の亀頭を包み込んだ。こんなこと初めての俺でも分かる。これからされる行為と、その行為の恐ろしさが。

「だめっゆうたくんお願いやめて」
「ごめんな、仁」
「やだぁッひゃぁあっあんっ!!」

 ゴシゴシと、裕太くんの手が俺の亀頭を擦る。なんかヘン。擦られて痛いと思ったら、だんだん熱くなってきた。

「待っ、おねがっ、イったばっかぁ、あぁんっあんっ!」
「もう少し頑張って」
「むりぃむりはなしてぇっやだぁあっ!!」

 脚をジタバタさせても裕太くんはやめてくれない。逃げたいけど拘束されてそれも叶わない。おまけになんだかチンコがゾクゾクしてきた。待って、これってもしかしておしっこじゃ…

「裕太くんおねがっ待っておしっこ、おしっこ漏れちゃうっ!」
「大丈夫」
「うそっうそだぁあんッおねがッはなしてぇっやだぁあっ!!」

 出るっ、おしっこ漏れる!裕太くんとはずっと一緒にいるからって、裕太くんの部屋で粗相なんてさすがに嫌だ。おしっこ我慢する時みたいに下腹部に力入れてみるけど、全然力入んない。

「やぁんっむりッなんかくるぅっ!」

 俺は我慢が出来なくなって、泣いて喘ぎながら反り返った。

「ああアッ……〜〜ッッ!!」

 プシャァッ−−−!
 俺は声にならない声を上げながら、無色透明の液体をチンコから噴き出した。え、おしっこじゃない…?

「なにこれぇっ…」
「おめでとう、仁。これが潮吹きだよ」
「しお…?」

 裕太くんはニコニコといつもの優しい表情に戻っていた。

「仁、可愛かった」
「男なのに可愛いとか言われても…」

 裕太くんはそのまま俺の上に倒れこんできて、俺の頭を撫でてくれた。いつもの優しい裕太お兄ちゃんだ。

「仁、好きだよ」
「え…裕太くん…?」
「…」
「あれ?」

 裕太くんは俺に好きだと言うだけ言って、寝た。好きとはどういう意味で言ったのだろう。

「え、ちょっと待って、拘束されたままなんだけど!起きてよ裕太くん!」

Fin
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