利吉さんなんでいるんすか帰れば。目上の人に向かってなんだその言い草はしばくぞ。いやいや仕事とかあるんでしょう、早く行ってくださいよつーか早く行け。黙ってろ餓鬼。どっちが。どういう意味だぶっ殺すぞ。
 そんな感じの矢羽音(不本意ながらきり丸との専用のがいつの間にか出来てしまった)が、飛び交っている。土井先生は矢羽音にこそ気付いているもののややこしいことになるのが面倒らしく全部無視して読書をしていた。どっちも出てけばいいのに、と暗に言われているようだがその辺は私も知らん顔させて貰う。
 ああもう利吉さんうっさい!集中出来ないんで帰って貰えます!?。何に集中出来ないんだ言ってみろ。うわ!うざい!。早くバイト行け。
 しっしっと手を掃う。きり丸はべーっと舌を出していて少し腹が立った。本気で始末してやろうか。いつもいつも土井先生にくっつき虫しやがって羨ましいんだよ。嫉妬は醜いですよ利吉さん。お前もだろう。僕は子供なので、いいんです。ぶん殴ってもいいかいきり丸くん。お断りですよ利吉さん。

「死ね!」

「その言葉そっくりそのまま打ち返す!」

 飛んできた内職の造花を取って投げ返す。それをきり丸が鍋で防ぐ。職人芸とも言える出来の造花が床にさくりとささっていた。この糞餓鬼、殺す気か。きらりと光る造花の茎。しゃらりと金属光沢を見せずとも凶器な花びら。これのためだけに作ったというのか。馬鹿じゃないのか。

「きり丸、利吉くん」

「何ですか」
「何すか」

 読書したまま土井先生が緩く爽やかに笑って言った。そんな顔きり丸に見せないでください。

「黙ってろ」






100417/お呼びでないよ

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