尾浜勘右衛門が変わったと、風の噂で聞いた。兵助が何故かすごく驚いて、八が興味のなさそうに返事をし、三郎がどこか納得しているような感じだったのだがその他大勢の奴らは本当に不思議そうに話していた。何時からそんなに変わったのか、と勘右衛門本人に聞いたら変わってないよ、微笑む。肉を食べることがなくなり、名前を呼んだらきちんと返事をする。そして何より、感情が外に出るようになった。笑ったり。怒ったり。泣きはしないけどくやしがったり。なんだか嬉しい。 前は取っ付きにくくて仕方なかったよと笑い話にして話すこともできる。実習のペアになった僕と勘右衛門は印を取っている。状況把握をしてもらい、僕が書き記す。勘右衛門は観察が得意なので楽だ。 「東の状況は変わらず不利。でもランタカ作ってたから、後で後ろから船が来るのかもしんない」 「了解」 「忍も何人かいるみたいだけど…暗殺じゃなくて伝令ぽいかな」 あとは大きく変わるまで休憩ーと弁当を開いた。食堂のおばちゃんに作ってもらったお握り(梅とおかかと鮭)をぱくぱくと食べながら勘右衛門は僕の字が乗る紙を眺める。気に喰わないなら言ってほしい。書き直すし。 しかし勘右衛門は何も言わずにそうだ、と何かを思い出すようなしぐさをしてから迷ってねと言った。? 「頼むから」 「?意味わかんない」 「俺を殺す時にさ」 馬鹿なこと言うなあ君は。馬鹿だからね。自分で言うなよ…。突拍子もない発言にちょっと笑った。勘右衛門も、笑った。あと数刻印を付けたら任務も終わり。五人で団子を食べに行く予定が頭を過ぎった。 100417/Q4.When is it? |