※メイド



 おかえりなさい久々知さん。フリルのあしらわれたメイド服をひらりと翻し綾部が頭を下げる。(最近様付けじゃなくさん付けに昇格した。)人見知りが激しくて最初は相手にもして貰えなかったことを考えると、進歩したものだ。いや、というか、それよりも。

「なんだそのふく」

「ああ、タカ丸さんがこれを着ろと」

「スカートだけど」

「それがなにか」

平然と首を傾げるから少し流されそうになったけど、これはすごく重大だ。男の子(と言っても華奢で誰の目から見てもかわいい)がフリル。でも似合っている、どうしよう、ジレンマってこういうことか。似合いませんか、と自分のすかあと部分をぴらりと持ち上げる綾部の手を、それ以上持ち上げられたら困るため、やんわり止めた。似合ってるよ!すごく!いつもの日替わりする制服(提供は斉藤タカ丸)も似合うけど、かわいいよ!
 勢いで半ば叫ぶように言いきった。何やってんの俺。絶対引くって。うましか。滲む冷や汗がつうっと背中を這う。ぞわりと身の毛がよだった。顔も真っ赤であろう、そして多分端から見れば情けない顔であろう、俺を見た綾部の感想がこちら。久々知さん、かわいい。






090827/角砂糖に恋した少年

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