※クローン



 むかし、森の中に一つの小さな家が建っていた。中には黒髪の少年が一人。以前、毎日々々地道に、緻密な作業をしていた。見た目がある人そっくりなそれに心、いわば精神プログラムを組み込むために何度も何度も実験をし、ついに出来上がり動いたそれは、数億の語とかりそめの感情もどきで取り繕った、がらくたであり―ああ堅苦しい説明は止めにしようか。傍観者気取りは気に食わないから。
 そのがらくたは本当の自分を探して黒髪の子の側にいたんだけど、この間ふつりと糸が切れたみたいに動かなくなっちゃって(電池が切れたんだろうなあ)、それに釣られて黒髪の子もぼんやりして、この小さな小屋は静かになって、ねえ。寂しくて仕方ない。さみしくないようにしたにも関わらず、静寂を貪った森の中はあまりにも冷たいのだ。そしてそれを見ている僕は、そうだなあ、黒髪の子を作ったものとでも言いますか。






090822/ヘテロの仕業にはうんざりだよ

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -