忍術学園一、ギンギンに忍者している潮江文次郎である。ギンギンって何だと素で思う。ギンギンって、なんだよ。それは置いておこう。

 馬鹿野郎、お前なんか役立たずのぼけなすの世界一忍者に向いてないどんくさ男!自分なりに一番ひどい言葉をつい怒鳴った(ボキャブラリーが少ないとかほっとけ)。予算が通るか通らないかのくだらない伊作との言い争いが発展して、物の投げ合いと怒鳴り合いだ。ちなみにそれを見学しているのはドSの王子様、立花仙蔵に続く作法委員と他下級生である。いたたまれない、ああいたたまれない、いたたまれない(字余り)。ぐず、鼻をすする音が聞こえてどきりと心臓が跳ねた。冗談じゃない、別に俺は悪くない。だけど無性に胸を締め付けられる衝動に駆られぎりぎりと手を握り締める。何故。俺が。こんな。
 俺は一生伊作と仲直り出来ないのかなんてくだらないことで意識を反らすと様子を見ていた下級生諸君が口を開いた。

「あ」

「あー」

「潮江文次郎先輩が善法寺伊作先輩泣かせたー」

 追い撃ちに仙蔵が「文次郎、何伊作を泣かしている。殺すぞ。」とどすを聞かせた声で睨んでくるのでお父さんか何かか、と言いたかったが(というか仙蔵に異議を申し立てたかった)目の前の伊作をどうにかすることが先決である。少し肩に触れてみた。反応?あったと思うか?それを見ながら仙蔵が肩を叩く。

「というか確実に留三郎が黙ってはいないな。ドンマイ文次郎、生きていたら慰めてやろう。」

「墓穴なら私が掘って差し上げますよ」

「綾部先輩やっさしーい!」

 嘲笑を浮かべて(つーか笑いを堪えてる感じで)いる仙蔵に続き綾部と笹山がくすくす笑って、いや笑い事じゃねーんだよばかたれ。生死がかかってんだよ、ガチで、と本気でどうしようか考え始めたら、

「ざーんねん、うっそー!」

 ぱっ、と伊作が顔を上げた。よく見えなかった上すぐにそっぽを向かれたけれど、多分泣いていた。まわりの奴らは大丈夫か、潮江先輩ぶん殴るか(ざけんな)、みたいなことを言っていたが伊作はそれを宥めてじゃーねと手を振る。緩やかだった。伊作らしくもありらしくもなし。ごめんな、と素直に出た謝罪に伊作は大丈夫だよ、と確かに笑ったのだ。確実に明日の朝は顔がぐちゃぐちゃ、というかぼこぼこだろう(留三郎の手によって)、さようなら俺。今日の教訓は伊作を虐めるとろくな目に会わないこと。ちなみに仙蔵は慰める筈もなくげらげらと笑い転げてくれた。






090711/教訓はいかがですか

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