すきですと零しても愛してると囁いても先生はただ受け止めるのみで返事をしてはくれない。一度私が先生はわたしのこと好きですかと尋ねたらほどほどに、と言われたほどほどってなんですか。中の中くらい、だろうなきっと。 だから今一度聞いてみた。先生はわちしのこと、噛んだ。私のこと好きですか、愛してはいませんか。 「ほどほどに」 「またそれですか」 「覚えているならなぜ聞いた」 「答えが変わるかと、思いまして。いや、変わればいいなと」 ちらりと見ても先生は先程と変わらない。本に目をあずけ私を見る気はないらしい。畜生。先生は私をどうお思いで。聞きたい。でも聞けない。絶対に、絶対にないとは思うけどもし、例えば「どうにも思わない」やら言われたら立ち直れないからだ。そのときは自害しようと心に決めた。今。 「先生は任務なら抱かれますよね?私は任務なら抱かれるでしょう。その時にもし情がうつったらどうします」 「君も人の子だからね」 「ほら、そうやってはぐらかす。私はそれが不安で仕方ない」 遠回しに「浮気したらどうします」には「別にいいんじゃないの」発言だ。忍者なら当たり前だけど、だけれどもう少し。これじゃあただの片思いとなんら変わらない。 私はここにいる意味はないのですか。 言って後悔。後悔先に立たずとはよく言ったもので。泣きたくなった。(あいして)(いいんですか)(せんせえ) 「利吉くん、よおく考えてみて」 「はい」 本を傍らに置き、(珍しく開いた場所も閉じてほっぽるようにしていた)(怒っている、な)先生は私をじいと見つめたあと、私が嫌だと思ったなら私は君を殺してる、と言葉とそぐわない笑顔を浮かべた。(え)ちょっと待て、それは一体全体どういうことで、す、か、 強いて言えば、強いて言えば?、私は君に依存しているのかもしれないねえ。なんて、うそのような、でも嘘じゃない。依存しているだけですか。か細い声が出た、息が掠れて言えているかもわからない。でも先生はにっこりと笑って(次の瞬間にはにやりと妖しい笑みになって)言った。 「とりあえず、私は君の先生ではない。 だから、君が私を名前で呼べるようになったら、そうだな、今この瞬間にも溢れてどうにかなりそうな言葉を言ってあげよう」 わかったかい。とりあえず私は半助さんを押し倒した。 090602/二度と息はしない |