※現代



「間切くん仕事覚えるの早いねえ」

「いえいえ、俺はまだまだですよ。でも土井さんにそう言って貰えるなら嬉しいです」

 新入社員という枠の中で、席の近い間切くんは私の手伝いと雑用をしてくれている。メール確認も、書類の整理、処理も出張もテキパキとこなす優秀な部下を手に入れて羨ましい、と雑渡さんに最近言われていた。ただし、雑渡さんは一歩間違えればパシリと呼べそうなくらいよく働くプロ級の部下諸泉くん持ちなので羨ましいも何もない。(先日、雑渡さんの昼食を諸泉くんが鞄から出していて驚いた。心底)(加えて手作り弁当だった。新妻。)

 流行りの曲ではない着うたで思考が切られた。間切くんの携帯である。数秒で止まったそれに少しだけそわそわしながらぱき、と携帯を開いたが、返信した様子はない。友達か。でもだったら落ち着かない理由がないから、恋人かな。
 随分見つめてしまったらしい。間切くんがにこりと笑って授業終わったって連絡が来た、と教えてくれた。

「大学生?」

「いや、高校一年です」

 俺がいなくてやだってごねてたんですけど、高卒くらいじゃないとどうにもならないですし。まだ若いのにきっちりしている考えをお持ちで。
 と言えば、利吉くん、受験大丈夫だろうか。あの子確か学年トップとか言ってたしそれほど苦労はないとは思うが。ただし同じ会社を受ける気なのはいただけない。学生しといた方が楽だし役に立つだろうけど、何より易々受かってしまいそうなのが嫌というかなんというか…、悔しい。

 ピピピ、と初期設定から確認してさえいない音がなったので反射的に待受を開く。着信、利吉くん。思わずため息が出そうになったすんでのところで我慢して通話ボタンを押した。

「もしもし。仕事中は電話しないでって」

『今休憩の時間でしょう?お仕事お疲れ様です』

 なんで知ってるんだ。ちょうど休憩時間ぴったり。どこにいるの?…学校ですよ、今日は定時ですか?多分。じゃあ家に行ってもいいですね。それはいいんだけど、学校の前の間が気になる。とは流石に突っ込まない(たるいから)でじゃあ夜に、と通話を切って、マナーモードにした。メールがいつも来るからだ。まあそれはいいとして。利吉くんの事だし、学校にいるとか言ってるときは九割型近くにいる。近くのコンビニか喫茶店か本屋か。会いに来ればいいのに。(本音。)






110421/マジックエゴ

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