※転生



 (ごめんねごめんね君の内臓が僕のではない網膜に焼けついて消えないのだと言うことはできない怖いなんて思えない綺麗だなんて思ってはいけないそっときえていく記憶にさよなら体温が徐々に下がるように階段が端っこからなくなるように橋がなだれて落ちるように少しずつ少しずつ足を早めてやってくる全部なくして落ちた時に僕が僕でいられたら君に言いたいことがある忘れなかったらきっと。)

 どこまで行っても結局は不幸の呪いがついて回るのだ。良いことがあった例しなどない。僕と同等なくらい不幸な先輩はどうしたろう。僕のようにどん底に、さながらパンを踏んだ娘のように落ちたのだろうか。大好きな人をぐちゃぐちゃに傷付けたのかな。ぐちゃぐちゃにさせてしまったのだったら。今この状況のようになってないといい。自分にではなく、周りの人に迷惑がかかるこれは史上最大の不幸だろう。絶望とも言い換えられる。そんなゲームがあったな、なんてどこか遠くで考えて、トラックのブレーキ跡をなぞった。辿って顔を上げる。網膜のそれと重なる光景は、また、きらびやかだった。
 僕を守ってくれたのは君だったよ。いつでも。どんな時でもそうだった。今この瞬間も。同級生の、幼なじみの、前世なじみの、彼だった。






110226/失意が受け継がれまだ続く

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