※数年後



 俺と同学年だったとある人物は折り合いが合わなかった。簡単に言えば仲が限りなく悪かった。名前も呼びたくないほどに、俺はそいつが嫌いだった。大嫌いだった。
 そいつが今目の前にいて、任務のために始末してもオッケーな状況。これほどまでこいつと会って嬉しかったことはあっただろうか。いや、ない。構えた手裏剣と苦無はこれでもかってほど鈍く輝いていて目がちらちらした。きらきらとは違うしちかちかでもない。目が焼けるとでも言えばいいか、それくらいのまばゆさ。が、目の前を埋め尽くして。やばいかもしれない。今俺、この雰囲気に飲まれて。





 がつっ、と受け身をとったが少し遅く、顔面に刀の柄が当たった。いてえ。
 だらだらと生暖かい液体の感触で鼻血が出たのがわかる。鼻血が伝って口に入るのを親指で拭いせき止めるが量が量なだけあって意味がない。粘り気もあまりないので唇を伝ったまま顎に垂れた。若干口に入ったのが変に甘い。しかも鉄臭い。さいあく。
 縦横無尽に駆け巡る。自分で言うのもなんだが速さだけはずば抜けているはずだ。なのになあ。流石と言うべきか。

「殺したいほど憎らしいよ…」

 傷付いてる自分に安心した。まだ人として生きていけるから。(待ってて)(探して。)






100808/I murder you now.

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