※現代 土井さん、と背景に花が見えそうなくらいの笑顔とテンションで利吉くんがこちらに走り寄ってきた。待ち合わせした駅前。レンガのロータリーに花畑。あと大きな木と、利吉くんに群がっていた女の子たちで見事なギャップが繰り広げられている。確かに待ち合わせ時間ぎりぎりに来た私のせいではあるけども、女の子をまるでいないように扱うのは一男子としてどうかと思う。 「こんにちは、とりあえずご飯にしましょうか?お腹減ったでしょう?私が奢りますよ」 「こんにちは。いくら誘ったのは利吉くんからと言えどさすがにしないから、ちゃんと半分ね。」 「ふふ、律儀ですね」 「普通」 土井さんかわいい、という言葉が聞こえたがそれはとりあえず流す。律儀なのではなく、人間として当然であり、ましてや相手が年下ともなれば奢って貰うなど。有り得ないったら有り得ない。 はあ、と息を大きく吐き出したらどうしましたか、と頬に手を添える。めんどくさい。いやいや小さな親切大きなお世話みたいな。嬉しいけどね。公共の、それも駅前だからね。 「あの不細工共、邪魔でした?」 無邪気に問う利吉くんは口が悪くなったようだ。 「…いいや、別に」 「ならよかった」 「利吉くんは大丈夫だったの?」 「?まあ興味がないですから。」 さらりとつっかえもなく言ったので、苦笑い。あはは、だよね。君が私以外と会話をしてるところ(少なくとも私の目の前では)見たことないもん。利吉くんの唇が動く。 「言ってくれれば退かして差し上げましたのに。」 今度は、きちんと追い払っておかないと…。 耳に届いた言葉は後半部分が小さかった。けれど小さな声を私が聞き逃すことはなかった。聞こえなければよかったのに。ため息を飲み込む。また物騒なことを言われては敵わない。それより、まずはとりあえずご飯だ。 100801/構造です捏造です。 |