いつの間にこんな色になったんだっけ、と自分の視界のはしっこを狭める髪を指で少し摘んだ。緑一色。環境に適応したカメレオンのように森に馴染んでいる。馴染みすぎてもう森から出られないくらいには鮮やかな緑である。荒々しく駆け抜けるために小枝が刺さったりもしている。首筋に触れるそれを引っこ抜いて捨てた。
 光に透けている髪を見送りながらこびりついた赤を指で拭う。拭えば拭うほどに赤が広がるので緑が斑になる。傷んだ感触は滑りを帯び、一時とは言えキューティクルが研ぎ澄まされたかのようだと。
 植物に埋もれながら仕留めたアイツの腕に頬を寄せる。肘の少し上から無い、というよりそこで綺麗に切り取った腕は、恐ろしいくらいに青白く、怖いくらいに冷たい。それに慈悲深い口付けを送る。どうか安らかに眠れますように。蔦が絡んで傷口に根をはっていた。花が薬指に、緑色の髪にもまとわりつく。はらはらと散らばる小さな花は、はしっこが赤く黒ずんでいた。






100705/かがやきの薬指

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