※現代



 暑い。
 氷が多くて安っぽいアイスティーを啜り、右手に持っていたジューシーチキン赤とうがらしにかぶり付いた。なんで黒胡椒は一時期限定だったのか聞きたいところである。辛くて美味しいのに。
 というかそれより、

「豆腐ハンバーグで作ればいいのになあ」

 しみじみ。ぽつりと溢したら「嫌だファーストフードなのに健康的なの」と八左ヱ門、「案外いけそうだよね」と勘右衛門。いや案外とかじゃなくて絶対美味いから。

「豆腐ハンバーグを豆乳パンで挟み飲み物が飲む豆腐…豆乳とかにすれば完璧。一寸たりとも狂いはない」

「八それうまい?」

「なかなか」

「ガン無視はやめろ」

 適当に流されたので腹いせに竹谷の持ってる袋に手を突っ込みポテトをがっしり掴んだ。悲痛な声を上げたが気にしないことにする。(勘右衛門はシェイクとシャカシャカチキンのみだったのでやめてやった。)
 ポテトを口に詰め込んで油っぽいのをアイスティーで流し込む。あまり好きではないが奪った手前返すわけもない。

「一口ちょうだい」

「おお」

 マックフルーリーストロベリーヨーグルトをねだる勘右衛門に山盛り一杯掬ってやる八左ヱ門を見て仲良いなあと思った。口の周りべったべただけど。付いたアイスを親指で拭う勘右衛門にティッシュを渡せば、ありがとうとにっこり笑う。八左ヱ門が唇を軽く(普通の人が周りから見てもわからないくらい)噛んだのでため息を一つついた。なんでこうも独占欲の塊になれるもんかね。


 横断歩道の信号に捕まる。アイスティーのカップにくっつく水滴がコンクリートに落ちて焼けた。トラックが轟音をたて過ぎていくので信号無視はできない。確かに田舎寄りではあるけども一応店等は多い方なのだ。
 誰も使わない歩道橋の階段が目に入り、交通事故防止モデルだかなんだかよくわからない、それでいて信号の変わりにくい横断歩道を見限った。歩道橋は好きだ。

「兵助、置いてくなって」

 八左ヱ門が小走りで寄ってきた。信号待ってれば?暑くて止まりたくねー。歩道橋久しぶり。喋りながら階段を上がるとどこからか聞き覚えのある声が聞こえた。見回して見て下を覗くと雷蔵が手を振っていてその後ろに三郎がいる。若干不機嫌。

「みんなー!今からコンビニ行ってから三郎の家行くんだけどー!」

「どうする?」

「行くか」

「あとで行くから待ってろ!」

 わかったーと信号を渡る二人を見て少しだけ笑う。まだ暑いけど湿気はないからマシだ。






100630/歩道橋を渡ろうよ。暑いけれど。

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