(泣きそうで泣かないまま雷蔵は、あとの話しどうにも泣いていたらしいが。)(静かに私の首に手を添えた。)
 苦しいかい、と尋ねる雷蔵に苦しいよと掠れた声で受け答える。何故か。まだ体重をかけていないから生きているが、私の腹辺りに馬乗りになる雷蔵は私の生き死にを掌で転がしている。ぞんざいに扱われているそれに思い入れはない。雷蔵が私を殺すなら本望だ。雷蔵の手は温かくて気持ちが良い。

「最後に言いたいことは?僕以外に伝えたいことなら駄目だけど」

「私は雷蔵以外に興味はない」

「そう」

 僕にはそれが信じられないから。そう顔に書いてある。雷蔵の顔に。それ以外に会話がなくなってしんとした重たさが面白いくらいにのしかかる。どろりとした静けさが、私と雷蔵に纏わり付いた。飽和して少し間を空け、雷蔵がぐっと細い細い指に力を込める。

「君が死んだ時、君の顔を見るのはさ」

 僕なんだから早く死んじゃってよ。(じゃあさっさと私の首を)(絞めてよ馬鹿。)






100610/拳銃を頭に突き付けて、引き金を引けばいいんです。やってごらん。

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