クルワッハ×神父の寵愛√でいただいたお題「あまい、にがい、あまい」でえろです。
文でちゃんと致すのって始めてなのでお察しのクオリティ()


は、と肺に沈殿する甘さを吐き尽くすように、深く息をつく。
それでも酸素を取り込めばまた、辺りに充満する砂糖を大気に溶かしたのではと思うような香りが粘質に内臓に張り付いた。
視線を落とせば、詰襟の黒衣を大きく背中が露出するほど開かれ、地に這いつくばりながら震える白い背中が右半分の視界に映っる。
「ひっあ、ぁ……、っは」
手の甲に額を擦り付ける事で浮いた一層香りの強い線の細いうなじに唇を落とせば、覆い被さった神父の唇が吐息と共に戦慄いた。
伴って震える金糸を、その目の前で首を擡げた銀の蛇が、気を引くようにかぷりと口に含み、くんくん、と二度軽く引っ張る。
それに神父が従順に顔を上げれば、蛇もまたくわえた髪を素直に離し、満足そうに首を揺らした。
既に飲み下しきれなかった唾液が一筋線を引くそこは、先まで胎内に埋まるそれを奉仕していたせいか赤くはっきりと色付いている。
常ならば冷たく射すような氷の瞳は、完全に溶け切り止めどなく水滴を流していた。
左の視界にそれを収めながら、ふ、と吐息を伴った笑みを溢す。
するとそれを合図にしたかのように、銀の蛇が大きく口を開き牙を晒して神父の細く白い指に噛みついた。
「い、っあ……あぁ、」
右手の薬指を噛みしめ、ゆっくりと離れる蛇に喘ぎ頭を振る金糸を掴み、上向かせるように加減もせず引く。
そうしてまた深く押し入れば、舌を突き出して喘ぐ様をまた首を擡げた蛇の視界で捉えた。
そのままぐ、ぐ、と二度ほど強く穿ったところで、ふと露になった背に浮かぶしるしが目にはいる。
「んっ、な、ぁ……?」
突然動きを止められたことへの不安か、はたまた不満かは解らないが、神父が粘つく口内を晒しながら視線を蛇に寄越す。
浅く呼吸をする様が今は少し邪魔だった為、器用に左目だけを閉じて目の前のしなやかな背にだけ目を落とした。
「――薄れてきたな」
左肩甲骨の隣、僅かに脊椎に近いその位置にある赤みの薄まったそれをついと人差し指でなぞる。
「ン、……ふ」
それだけで甘い吐息を溢すのが耳に届き、いよいよ色狂いになってきたなと呆れを乗せたため息をついた。
そうなるようなことを散々にしてきた自分は棚にあげて、だ。
神の寵愛なんて、言葉だけで実際は厄介極まりないものだった、ましてやその精を受けていれば尚更。
魔物には喰らえば力が増すと執拗に狙われ、また力の無い生者も無意識のうちに魅せられてしまう様な。
しかしそれに代わって得る物もあることはあるのだが。
「また刻み直すか……」
ぽつりと小さな呟きにも過敏に反応した神父が、拒絶するように頭を振りゆるゆると逃げをうつ。
その腰を引き寄せ、張っていた腕の自由を奪ってやれば、自身の意思では動かせなくなったそこから崩れ落ち、あう、と声を漏らして床に這いつくばった。
「逃げるなって、……痛ェけど我慢しろよ?」
囁くように落とせば、待て、とか細い音が届く。
しかしそれを無視して右腕で神父の首の付け根を掴み、強く床に押し付けてからしるしの上に左の掌をかざした。
ちり、と青い炎が掌から点り、肌を焼くような匂いが辺りの甘い香りをどこかへ追いやる。
「――っぐ!!あ、あ……っ」
熱さと痛みに拳を握り締めたくても出来ないせいか、酷く身体をのたうたせるせいで、結合部から粘質な空気の泡を潰したような音が幾度となく上がる。
その動きに、自由を許したまま跨がらせた時よりも余程強い快楽を得、思わず炎の加減を強めてしまった。
ああ、しまったと思った矢先、神父は悲鳴のような呼気を肺から押し出し身体をひきつらせた。
炎を納め掌で背を撫で付けながらそこから離せば、赤くくっきりと刻まれたしるしが目を焼く。
「終わったぜ、よく耐えたな」
直径六センチほどの範囲に刻まれた、鱗の様な形をしたケロイドに唇を落とせば、声もなく喘ぎ腰を跳ねさせる。
その瞬間、微かに、粘質な音が結合部以外から届いた。
「――あ?」
背につけていた身体を離し、ついでに床にへばりつく神父の身体も引き寄せ背を預ける様に身を起こさせる。
胸に神父の体温を感じながらその顎を背後から捉え、閉じていた左目を開けば、蛇の視界を伝って、酷い痴態を晒す様が映った。
ひくひくとあらゆる関節を痙攣させ、だらしなく開かれた唇をからは熱い呼気を溢し、それに伴い上下する胸や腹は白く粘度の高い液体で汚れている。
「……なに、イッたの?……さっきので?」
「ッ……、ん、ふっ」
おいおい冗談だろ、と肩越しに視線を寄越せば、開きっぱなしの唇が強く噛み締められた。
それに合わせて瞼も固く閉ざされ、押し出された涙が屈辱か羞恥かに塗れた頬を伝い、落ちる。
「ッハハハ!――はしたねぇ神父サマだなァ……」
腹から沸き上がる嘲笑を堪えきれずに吐き出し、次いで煽るように囁きを直接耳に吹き込こむと、腰から脊椎をなにかが奔ったと言わんばかりにぶるりと身体を震わせる。
低音での囁きに神父が快楽を得ることなど随分と前から知っていた。
「ほら、淫乱な神父サマのせいで聖堂が穢れちまったぜ?……キレイにしなきゃな」
顎を捉えた親指で下唇を圧し、ぐ、ともう片方の腕を伸ばして木製の床に付着した精液を人差し指と中指で掬い上げる。
「、んぐっ」
ぽたぽたと神父服に幾つか染みを残しながら、無理矢理開かせた唇の隙間からその二本の指を捩じ込んだ。
「つらい?くるしい?にがい?」
激しく水音を立てながら掻き乱してやれば、やがて甘い吐息を溢して舌を絡めてくる。
「……いや、そうでもなさそうか」
前触れもなく指を引き抜き、また辺りに充満し始めた甘い香りに息を吐き出しながら、同じように掬った精液を口元まで運んでやる。
すると自ら舌を伸ばし、神父自身の体液で汚れた指を奉仕するように舐めしゃぶった。
ぴちゃ、と鼓膜を震わせる水音が何故か不快で、舌打ちを露に抱えていた神父の身体をまた同じように床に押しつける。
「ふッぅ……っア!!」
そのまま深く深く、殺意すら込めて穿てば、神父は突然の強く鮮烈な刺激に目を見開いて喘いだ。
ぎゅっと絞まった後孔に、また正体の解らない苛立ちが募る。
「俺は神父サマに脳ミソ溶かされそうだよ」
苛立ちのままに戦慄く金髪に吐き捨てれば、啜り泣くような喘ぎが微弱に甘い大気を震わせた。
そのまま左腕で神父の腰を固め、快楽よりも苦痛を与えるように激しく揺さぶる。
いっそ殺してしまいたいとすら思える暴力的な感情を、宥めるように蛇の長い尾が神父の頭の脇についた右手の甲をゆらゆらと撫でていった。



20150702







人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -