また勝手に拗らせた女子中学生ゆしちゃんを拉致軟禁する鍋。十九×十四位で許嫁だったんだけどそれを知らないまま一回パパのせいでお家駄目になって兄上が持ち直した表企業の息女ゆしちゃんと許嫁の話が無くなっても欲しくてじゃあ囲っちゃえってなった表も裏も名の知れた若き当主クロウ。
先天にょたですご注意を。





ああ、と切なげな声が暗闇から響く。
しまったと思った時には既に遅かった。
視界の左端、廊下の突き当たりとなる八角形型の空間に僅かに差し込む月明かりが浮かべる影がゆらりと揺らめくのが目に入る。
「は、あ……ん」
揺らぐ影に合わせて響く小さな声に、ぐっと胸が締め付けられる。
しかしそれに反して好奇心はそろそろと歩を進め、本人の意識を伴わないまま出窓で重なる二人の人影が容易に黙視できる距離まで身を滑らせた。
壁に隠れるように両手を添えながら、ゆっくりと身を乗りだし目を凝らす。
そうして視界に飛び込んできたのは想像した通り、銀の髪を持ったこの屋敷の主人と、そしてその人が数週間程前に連れてきたまだあどけなさの残る美しい金髪の少女だった。
出窓に腰を据えた少女に主人が身を寄せる度、潤みを帯びているのか僅かに月明かりを反射させる可憐な唇からか弱い悲鳴ともとれる吐息が漏れる。
大きく開かれた白い脚が幾度となく跳ね、その度にカタカタと背に圧された窓枠が音を立てた。
「や、ああ……」
少女の纏う、名門の息女達が通う私立中学の黒い制服は月明かりを受け暗闇のなかにぼんやりと形を浮かび上がらせ、腰裏のリボンが揺らぎに合わせて窓枠を滑る。
彼女がこの屋敷に無理矢理連れてこられてから、幾度となくこのような行為が行われていることは使用人の皆が知っていた。
まだ十五にもならぬいたいけな少女が、突然囲われ何度も体を暴かれ。
しかも何故か主人は一切説明することもないまま、名すら明かしていないらしい。
なんとお痛わしい、そう唇を噛んだ時、ふと少女の濡れた瞳がこちらを射止めた。
戦慄く唇が、震える白い手が、ゆっくりと此方に向けられる。
「たす、け……」
その仕草にひたりと動きを止めた主人が、ゆっくりと首だけで此方を振り返る。
「、ぁ……」
月明かりを僅かに取り込んだその深紅は、刺すような鋭さで、それでいて口許は恍惚とした笑みを浮かべたまま、うっすらと目を細める。
それだけで、全身から汗が噴き出すような感覚が襲った。
公の場では明るく振る舞われているが、しかしその私生活は酷く冷淡で表情の乏しい人であると思っていた。
主人のあの様な顔は、初めて目にした。
「ッア、あ!」
そのままおぞましさすら感じられる程冷ややかに唇を舐めた主人が、少女の白い首筋に吸い付き獣の性交のように腰を振る。
未だ此方に縋り続ける薄氷の瞳が衝撃に見開かれ、律動に合わせてほろほろと大粒の涙を溢した。
酷い水音がそこら一体に響き、床に大きく伸びる影が一定の間隔で広がっては小さくなりを繰り返す。
少女の脚に辛うじて突っかかっていた薄い下着が、激しい揺らぎに耐えきれず小さな音を立てて床に落とされた。
それでも尚伸ばされ続ける少女の細い手が、蛇のようにしなやかな動きで主人の大きな手に絡め取られていく。
「や、ぁ、ああ……っ!」
ついには嗚咽を伴って発せられた少女の悲痛な声に、堪えきれずに背を向け一目散にその場から逃げる。
壁につけていた手を離した瞬間、どうして、と少女の涙に濡れた声が聞こえた気がしたが、ならばどうすればよいのかと唇を噛んで無視をした。
出窓の木板が軋む音が、まだ耳に届く。
足を早め、きつく瞼を閉じようとも、最後に見た悲痛に染まった少女の顔は脳裏から離れないままだった。



20151027








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