ちろっと思い付いた奴隷クロウ(19)×主人ユーシス(13)。
ただクロウが媚薬盛られて坊やで発散するだけの話です。



カツカツと速まる靴音は意識せずとも苛立ちを体現するかのように無駄に広く長い廊下に響き渡る。
漸く辿り着いた普段は使われていない客室の扉をけたたましい音を立てて開けば、思った通りの光景が目に飛び込んできた。
男に掴まれた銀の前髪の隙間から赤い瞳が僅かに覗く。
「ユ、ユーシス様……っ!!」
それを囲う使用人達の一人が狼狽えた声をあげ、それにどよめきながら他の者も顔色を青くしながらソレから身を引くように後退る。
掴まれていた髪が唯一の支えだったとでも言うようにくず折れた銀髪は、後ろ手に拘束する手錠を結ぶ鎖をしゃらりと何度か揺らし、口を利くこともこちらに視線を寄越すこともなく項垂れた。
「……貴様ら、何をしている」
ちら、とソレに向けていた視線を使用人達へと戻す。
成長しきっていない少年の身体から出た声は使用人達の予想を遥かに上回る低さと威圧を伴っていたのだろう、その場にいたうちの複数の使用人が僅かに引きつった声をあげてたじろいだ。
「ソレが誰のものか解っていての狼藉か」
ソレ、と呼ばれた銀髪が視界の端でひくりと揺れる。
未だに床に座り込んだまま頭をあげることのないソレにゆっくりと近付けば、揺れる肩に合わせて荒く呼吸を繰り返しているのが解った。
そっとその銀髪に指を通して、そのまま胸へと抱き寄せる。
意外にもすんなりと頭を預けた銀髪に目を細めれば、は、は、と小刻みに吐き出される熱い呼吸が二の腕に触れた。
さらりと昨日手入れをしてやったばかりの銀髪を指で梳きながら、傍らで冷や汗を流し続ける使用人達に冷めた目を向ける。
「――今なら見なかったことにしてやる。……二度はないぞ」
そうして兄がするように目をすがめて低く言い放てば、使用人達は一斉に姿勢を正し、慌てた様子で部屋から飛び出していった。




暫くその銀髪の感触を指で楽しんでいる時だった。
僅かに体重を預けていた頭がゆっくりと動き、目の前の細く白い二の腕に熱い舌を這わせ、じわりと歯を沈めるように甘く食んだ。
「――無事、というわけでもなさそうだな」
は、と離された舌と肌が糸を引くのにも嫌悪を向けることなく、回していた腕を下ろして床に放られていた硝子瓶に伸ばす。
くん、と拾い上げたそれを鼻先に寄せて香った甘い香りに、馬鹿なことを、と小さく呟いた。
「……父上にありもしないことを吹き込まれたらしい。貴様がここに来る前はそういう使われ方をしていた、と」
一服盛られただけで良かったな。
そう付け加えて立ち上がれば、漸く寄越された赤い瞳がぎらりと光り、思わず息を詰める。
今回目の前の男に盛られたのは快楽を強めるものというより性欲を強めるものに近い媚薬だった。
今この状況がこの男にとって酷いお預け状態であることなど、深く考えなくても解った。
「……今回の事は俺にも落ち度があるだろう」
父との下らない喧嘩に巻き込んだ自覚はある。
つまらぬ意地を張らずに折れていれば、たかだか奴隷のこの男が嫌がらせとして使われることもなかったのだろう事も。
「立て。せめてベッドまでは歩け」
くん、とワイシャツの襟から覗く黒革の首輪に指を引っかけて軽く引く。
つられて揺れた銀髪の合間から、獣のようにギラついた瞳が真っ直ぐ射ぬいてきた。
自然と初めてこの男に犯された夜を思い出して、喉が貼り付く。
「――"手"なら貸してる、……好きなように汚していい」
首輪に指をかけたまま囁けば、ぽたりと顎を伝って落ちた汗がその指を濡らした。


「ッ、」
フーッ、フーッと耳元で興奮を乗せる吐息が噛み締められる。
ゆるゆると揺すられる腰の動きに合わせて緩急をつけて指を絡めてやれば、堪らないと言うように吐き出された熱い呼気が首筋にまとわりついた。
「……っふ、随分と堪えたらしいな」
掌に収まりきらない熱いそれが、薄い皮膚に擦れていく感触に指先が震える。
ただ指を絡めているだけでしごいたやることはしていないというのに、自ら腰を振って快楽を得ようとするはしたなさに思わず喉から嘲笑が漏れた。
「すごいな……もうこんなにベトベトだ……」
とろとろと先走りを溢し、掌を汚していく様をうっそりと笑いながら、親指を鈴口に押し付ける。
「ッ、ぐ……!」
瞬間、びくびくと震える熱い肉の感触が掌全体に伝わり、つられるように熱くなった呼気が唇を湿らせた。
ふる、と銀の睫毛が間近で震える。
「……気が変わった」
そこが涙で僅かに湿っているのを見止めたが最後、無意識のうちに口を開いていた。
熱いソコに絡める指はそのままに、そっと目の前の引き締まった身体にもたれ掛かる。
「――俺を抱きたいか、クロウ……」
上から注がれる視線に、誘うように唇を舐めれば、張り出した喉仏が興奮も露にごくりと上下した。
ワイシャツから覗く首輪の下、ひっそりと存在を主張する男らしい鎖骨にちゅっと唇を落とす。
「お前に引き摺られたらしい……特別に許してやるぞ……?」
そのまま視線も合わせずに空いた掌でキスをしたそこをなぞれば、頭上からギシリと歯を噛み締める音がした。
瞬間、視界がぐらりと回る。
背中の衝撃を包んだシーツに息を詰めつつ瞬きをすれば、いつの間にか反転した視界が磨きあげられた天井と息を荒げる男で一杯になる。
「んっ……こら、」
そうして上質な生地のショートパンツ越しに質量のあるそれを押し付けられ、思わず腰を浮かせた。
ぐりぐりと擦り付けられるそれを宥めるように、ワイシャツ越しの腹筋を指先で辿る。
「シたいのなら、ちゃんと俺を気持ち良くさせろ」
そのままゆっくりと首元のリボンを自ら引き抜き、僅かに皺ができたワイシャツのボタンを外していく。
漸く全てのボタンが外され、ジャケットだけが床に放られる頃には、開かれた胸に熱い舌が這わされていた。


じゅぷ、と粘質で嫌らしい水音と、二人の熱い吐息が部屋を満たす。
まだ発達しきっていない小さな陰茎をぱくりと口に含まれ舌を絡められれば、嬌声と共に薄い腰が幾度となく震えた。
「ンッふ、っはぁ……」
じんわりと下腹部に広がる甘い快感に、思わず熱い昂りから唇を離す。
それでも直ぐに唇を押し当て舌を這わせれば、熱い口内から解放されそして奥に潜む後口にぬるりとしたものが触れた。
「っ、そう、だ……ちゃんと濡らせ……っあ」
ぐ、と股がる腰をさらに落とせば、ぐるりと一周したそれがゆっくりと割り入ってくる。
「ああっ……!ッは、舌、あつ……」
直接ナカを舐めるその舌の熱さに、腰が震えるのを止められなかった。
反射的にそこをきつく締め付けながら、眉根を寄せて熱い息を吐き出す。
「んぐッ!っふ、……ゥ」
するとまるでこっちが留守だとでも言うように開かれた唇に怒張したそれを押し込まれ、息苦しさと独特の苦味に生理的な涙が溢れた。
口に含むだけで顎が痛みを訴え、ぐっと腰を揺すられれば喉まで入り込んで吐き出そうと嘔吐く。
それを何度か繰り返したとき、ふと舌を突き入れられたままがぶりとそこに歯をたてられた。
「ン、いっ……!!な、ァ……」
痛みに仰け反り、口を離した途端、目の前のそれが大きく脈打ちびゅくりと白濁液を溢す。
目に入るよりはと舌を突きだしてそれを受け止め、吐き出しそうになるのを堪えて数度に分けて飲み下す。
「……口に出して良いとは言ってないだろうに」
それでも咳き込むのは止められずにげほ、と噎せたまま腰を浮かせば、合わせて肘を張って体制を戻した男に骨盤の張り出しへと唇を落とされた。
いい加減口を利いたらどうだと眉を寄せながら唇を離す銀髪を睨む。
「……まあ良い、ん……」
しかしこの状態では何を言っても無駄であることは明白で。
仕方無しにため息を一つ溢して、口内に残った苦味のあるそれを舌に乗せ中指でそっと掬った。
ゆっくりと足を開き、唾液と白濁液の滑りを伴ったその指を自らの後口に擦り付け、呼吸を止めて滑り込ませる。
すんなりと指を受け入れたそこは指を足しても僅かに苦しさを覚えるくらいだった。
「っは……、大丈夫、そうだな……」
そっと息をついて指を引き抜き、始終を荒い息を吐き出しながら見詰めていた男を見上げる。
長く伸びた前髪で表情は伺えないが、その銀髪が頬に貼り付くほど興奮に肌を湿らせてるのは見てとれた。
「……ほら、挿入れて、良いぞ……」
ヨシをするように目を細めてその頬に腕を伸ばせば、にち、と嫌な水音を伴って熱く質量のあるそれが入り口に押し当てられる。
しかし後ろ手に拘束されたまま腰だけで挿入するのが難しいらしく、充分に濡らされたそこは滑りやすく何度も陰茎を擦り付けるだけだった。
「ふッ……は、仕方ないな……」
その必死な様に一種の愛しささえ感じて、後口をひくつかせるのを抑えもせずに小さく笑う。
しかしこのままでは埒があかないため、ゆっくりとその陰茎に指を絡め、挿入れやすいように固定してやる。
「これで、ッ――ァア!!」
いいだろう、と囁こうとした言葉は突如襲った衝撃に押し潰される。
ズン、と容赦なく最奥まで貫いた怒張に、弓なりに身体を仰け反らせ目を見開き舌を突きだした。
かは、と押し出された空気が喉から抜け、びくびくと身体が痙攣する。
「あアッ、あんっ!」
それでも容赦なく始められた抉るような律動に、開いた口を閉じる事も儘ならず苦痛ともとれる嬌声を溢した。
ぐ、ぐ、と内蔵を押し上げる様な突き上げに、放り出された脚ががくがく震えて止まらない。
「そ、な、いきな、り……!!あッぐ!!」
ゆっくりと目の前の身体が傾ぎ、輪郭を辿るように舌を這わされ首筋に吸い付かれる。
そうしてベッドに頭を預けた男の熱の籠った息遣いが、直接耳に吹き込まれるようでたまらず嫌だというように頭を振った。
上質なシーツに艶のある金髪が打ち付けられる乾いた音がする。
「ひ、ぅ、ま、て……くる、し……い、ッくるし……っ!!」
は、は、と左耳を刺激する熱い吐息に合わせて力強く打ち付けられる腰が、一度ぐるりと捩られ再び奥を抉られる。
「ッは、あ!あァ、あンッ!」
しかし先とは違って確実に前立腺を刺激するようになった角度に、陸に打ち上げられた魚のように腰を跳ねさせはしたなく喘いだ。
ぐちゅぐちゅと空気を含んだ泡が潰されるような酷い水音が結合部から漏れる。
そうして早められた律動に限界を悟り、腕を目一杯伸ばしてその逞しい首にすがり付く。
「ア、あぅッ、ァっ――!」
途端に最奥でじわりと熱が広がるのを感じ、その熱さと感触にたまらず熱を解放した。
「や、ナカ、あつ……」
腰を揺らして余韻にくたりと腰を落としても止まらず注がれる熱に、はあ、と快感に蕩けた吐息を溢す。
そして漸くゆっくりと引き抜かれたそこから、間をおかずに溢れだした精液が尻を伝ってシーツと男のズボンを汚したのが解った。
これで、とふと全身の力を抜く。
「い、アっ!」
しかし開ききったそこを塞ぐようにまた鋭く押し入ったその質量に、溢れることなく溜まっていた涙がぼろぼろとこぼれ落ちた。
達したせいで敏感になったそこがまた、欠片の容赦もなく乱暴に暴かれる。
ハア、と目の前の唇から吐き出された呼気がまだ終わりには程遠いということを伝えるようで、ぶわりと肌が粟立つ。
「ま、まて、ま……ァッ」
嫌だ、と頭を振って泣き叫んでも、ただ餓えた獣のような視線が降り注ぎ、過ぎた快楽が全身を駆けずり回る。
そうして休む間もなく気を飛ばすまで、気を飛ばした後も薬の効果が無くなるまで抱き潰さた身体は、暫くろくにいうことも聞かなかった。



20150927







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