最近、柳くんの様子がおかしい。
どこが?と聞かれたら答えられないくらい、ほんの少しの変化。
別に私は柳くんの彼女でも何でもないけど、この大きな学校で3年間も同じクラスだったら仲良くなってもおかしくない…と思う。
仲がいいどころか私にとって柳くんは、恋の相談相手なのだ。私の好きな人がテニス部にいるから、相談に乗ってくれている。
そんな柳くんの様子がおかしければ、いくら鈍い私でも少しは気づく。
「…柳くん、大丈夫?」
放課後。
テスト期間中で早めに部活が終わった柳くんに、いつものように相談に乗ってもらっていた。
やっぱりどこか様子のおかしい柳くんが心配になり、一旦話を中断する。
「いきなり何だ」
おかしな奴だな、と笑われた。なんかむっとしたけど、いつもの柳くんだ。
「いや、なんか最近様子がおかしかったから。飢えてるっていうか、苦しそうっていうか……。私の気のせいか」
いつも通りの柳くんに安心して、ははっ、と笑った。けれどそんな私とは裏腹に、柳くんの肩がぴくりと小さく跳ねて顔から笑みが消える。
「…わかるのか、お前には」
「…、何が?」
何が、と聞き返すのは少々おかしかったような気がするが、そうとしか言えなかった。私に何がわかるというのか。
柳くんが静かに立ち上がった。そして、彼を見上げる私の頭を優しく撫でる。
「お前に隠し事は出来ないな」
口元に小さく笑みを浮かべている柳くんに、少しだけ…ほんの少しだけ恐怖を感じた。
私の頭の上にあった柳くんの手が、頬へと下がる。
「驚かないで、聞いてほしい」
内容にもよるけど、と思いながらも黙って柳くんの言葉に耳を傾ける。触れられている頬が熱い。
「俺はバンパイアらしい」
わんもあぷりーず
「…柳くん、頭打った?」
「俺は大真面目だが」
20100707
 ̄ ̄ ̄ ̄
妄想の産物。
涙君が終わったので、新しいやつを!とか思って出来たのがコレ。
バンパイアネタって、他の素敵サイト様と被ってますよね…すみません。