よく考えてみれば、真田くんにちょっと怒られるのと仁王くんに血をあげるのなら、真田くんに怒られた方がいいんじゃないかな。
真田くん、心広そうだし。
「というわけで、お断りします」
「苗字のケチー」
「なんとでもどうぞ」
朝、柳くんにかなり血を吸われて保健室に来たのに、またここで血をあげてどうする。今度こそ私は死んでしまう。
「ちょっとだけでええのに…」
「ちょっとだけってことは、あんまりお腹空いてないんじゃない」
「違う、味見」
「私は食べ物じゃないの!」
そんな会話をしていると、ふら、と体が揺れた。
貧血か…、と頭の片隅で思いながら横になる。ああ、疲れた。
「大丈夫か?」
「多分、貧血だから平気」
「…参謀か」
その通りでございます。と声を出すのも面倒だったので、私は小さく頷いて目を閉じた。
「…あの参謀が、な」
あの、って何だ。
そう思ったけど、落ちていく意識には抗えず、また眠りについた。
「ますます飲みたくなった」
まさか仁王くんがそんなことを口にしているとも知らずに。
君はどんな味がするの?
参謀が夢中で啜る血
どんな味がするんかのぅ
20110330