真田はバレンタインなんて覚えていないだろうし、もしかしたら『たるんどる!』なんて言って怒号が飛んでくるかもしれない。
でも、たるんどると怒られようと、私は真田に食べてほしくてチョコを作ってきたのだ。
「というわけで真田、ハッピーバレンタイン」
「うむ」
………うむ?
あの堅物な真田が、何も言わずにチョコを受け取った。
たるんだ夢でも見ているのか、私は。
「…怒らない、の?」
「好意を抱いている人物からチョコレートを貰って、何故怒らねばならんのだ」
それもそうだ。
でもなんだか納得がいかない。
「バレンタイン、知ってたんだね」
「俺を誰だと思っている」
お前のためならば
(どんなに苦手なことでも)
(調べ上げてみせる)
20110214